財務省所管の独立行政法人。1869年(明治2)2月に太政官(だじょうかん)のなかに設けられ、同年7月に造幣寮と改称し、イギリスから造幣機械を輸入して1871年4月に大阪で開業した。1877年1月にふたたび造幣局と改称した。その後、2001年(平成13)1月の中央省庁再編で、大蔵省が財務省に改称したのに伴い、財務省の所属となり、2003年4月、財務省所管の独立行政法人となった。大阪市の本局のほか、東京、広島に支局を置いている。
造幣局の事業は、貨幣・勲章・章牌(しょうはい)・合金および金属工芸品などの製造、記念貨幣等の販売、貴金属の精製および品位の証明、鉱物の分析および試験などである。これらの事業を一般会計と区分して企業的に運営するために特別会計が設けられていたが、独立行政法人化に伴って廃止された。もっとも大きな事業は貨幣の製造であり、国民経済の進展、自動販売機の普及に伴ってその需要は急速に拡大した。2007年度の製造実績では、500円ニッケル黄銅貨4億0990枚、100円白銅貨1億2990万枚、50円白銅貨990万枚、10円青銅貨3億8890万枚、5円黄銅貨990万枚、1円アルミ貨2億2390万枚の製造となっている。大臣が執行官となって新しく製造された貨幣が規定どおりにつくられているかどうかを公開の場で検査する「製造貨幣大試験」は、1872年5月に当時の大蔵大輔(たいふ)兼造幣頭井上馨(かおる)が執行官となって行ったのに始まり、以後今日まで続けられている。
なお、貨幣の引き換えまたは回収にあてる資金を保有することによって貨幣の信任の維持を図るという趣旨から、貨幣回収準備資金制度が設けられている。