木工具の一種。木材を削るための道具である。平面・曲面・角・溝など、あらゆる面を削るのに使用される。一般にカシの木の台に仕込まれた鉋を台鉋といい、普及したのは、16世紀ころとみられる。それまでのやりがんな(・鉇・槍鉋・鑓鉋)によるさざ波状の仕上げに比べて、台鉋ではより平滑な仕上げができるようになった。
鉋の種類には大きく分けて、平面を削る鉋、際(きわ)を削る鉋、溝・脇(わき)を削る鉋、角を削る鉋、曲面を削る鉋がある。
平面を削る鉋の平鉋(ひらかんな)は、板材や角材などの平面を平らに削るために使われるもっとも一般的な鉋であり、一枚鉋と二枚鉋に分類される。一枚鉋は削艶(けずりつや)を重視する場合に使用されることが多く、一般的には逆目(さかめ)を防ぐために裏金(うらがね)を入れた二枚鉋(合鉋(あわせかんな))が使われている。仕上げの工程に応じて、荒仕工鉋(あらしこ)、中仕工鉋(ちゅうしこ)、仕上鉋(しあげ)の3段階に分けられていたが、それがさらに分化して、「鬼荒仕工」「荒仕工」「ひらとり」「中仕工」「上仕工」「仕上げ」という6種類になり、木の表面を美しく仕上げるために、荒削りから仕上げ削りの工程に応じて多種の鉋を使い分ける。
際を削る鉋の際鉋(きわかんな)は、平鉋の刃を一方に傾斜させて斜めに切り口を設け、鉋台の下端と一方の角に刃が出るようにつくられており、入隅(いりずみ)(板や壁などが交わった内側の角)の際を削る場合や、際の仕上げなどに使われる。使用する方向によって、右勝手と左勝手がある。
溝・脇を削る鉋には、決(しゃく)り鉋、脇取鉋、底取鉋などがある。決り鉋と底取鉋は、鉋台の下端の幅と刃先の幅が同じで、鴨居(かもい)・敷居など、一定幅の長い溝の底を削るのに使用される。脇取鉋は、溝の側面を削るのに使用され、刳(くり)小刀のような刃先が台の側面に出るように仕込んである。
角を削る鉋は、板材や角材の各部分の削り落とし(面取り)、曲面や飾り模様の削り出しに用いられる特殊な鉋である(面取鉋(めんとりかんな))。鉋台の下端を面の形状に合わせて加工し、これに合うように刃を研ぎ合わせて仕込む。台の揺れを防ぐために定規がついているものもある。面には、几帳(きちょう)面・平几帳面・坊主(ぼうず)面・銀杏(ぎんなん)面・瓢箪(ひょうたん)面・自由角面・自由猿頬(さるぼお)面などの種類がある。
曲面を削る鉋には、下端が凹型に湾曲した内丸鉋と、凸型になった外丸鉋がある。内丸鉋は、凸型の曲面外側を削り、外丸鉋は凹型の曲面の内側を削る。
そのほかには、幅の広い板の反り防止を目的とした蟻桟(ありざん)の加工などに使用される蟻決(ありしゃく)り鉋や、おもに鉋台を調整する目的で刃を台に対してほぼ直角に仕込んだ台直し鉋がある。