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酒器の一種で、酒を入れて杯(さかずき)に注(つ)ぐための容器。おもに陶磁器でつくられている。「とっくり」ともいう。口径が狭く、胴の膨らんだ背の高い形のものが多い。室町時代中期からこの名がみられ、得利、徳裏、陶などの字もあてられた。徳利は、初めは酒のほか、しょうゆや酢などを入れる容器にも用いられたが、現在では酒を入れる容器とされている。徳利の語源については、一説に、徳利は備前(びぜん)焼でつくられたものが多く、備前焼は安価で堅固であるところから徳利であるという意味で名づけられたというが、さだかではない。
徳利の大きさは、3升(約5.4リットル)から1合(約0.18リットル)用までさまざまであった。このうち、5合(約0.9リットル)から1升(約1.8リットル)入りの徳利は酒店の貸容器として用いられ、これを俗に貧乏徳利とよんでいた。一方、1~2合入りの小形の徳利(燗(かん)徳利)は、ちょことの組み合わせで、酒を間接的に温めて飲む習慣の普及した大正初期まで広く用いられた。その後2合徳利はしだいに廃れ、1合入り、さらにはそれより小形のものが用いられるようになっている。