感染症予防・医療法(感染症法)に規定された感染症分類の一つ。指定感染症は同法で「既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフエンザ等感染症を除く)であって、感染症法上の規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの」とされている。指定感染症では、一~三類感染症に準じた感染者の入院対応や消毒等の対物措置が可能となる(これらは感染症の広がりの特徴に応じて決められる)。指定は1年で失効するが、1回に限り延長が可能であり、最長2年間とすることができる。
近年では、2013年(平成25)4月に鳥インフルエンザ(H7N9)が指定感染症に指定された(その後、鳥インフルエンザ(H7N9)は二類感染症に変更されている)。また、2020年(令和2)1月には新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)が指定感染症に指定された(新型コロナウイルス感染症は、その後2021年2月13日より指定感染症から「新型インフルエンザ等感染症」に変更されている)。
なお、指定感染症が「病原体が既知の感染症」を対象に指定されるのに対し、病原体そのものが未知の(新しい)感染症については同法の「新感染症」に分類されて対応が行われる。新型コロナウイルス感染症については、発生当初、病原体がわからないうちに国としての対応が必要であれば一次的には新感染症に分類しえたが、病原体がコロナウイルスの一種ということで指定感染症となった。新感染症は、現在の科学技術をもってしても病原体が特定されない感染症の場合に一次的に分類されうる類型で、一類感染症と同等の対応が行われる。また、万が一に備えて、入院勧告も一類感染症および新感染症で最大10日間とする厳しい対応ができることになっている。