ジャパンナレッジ
原木を森林から搬出するための鉄道で、木材の大量生産地帯に有利な運材法。軌間は762ミリメートル、機関車は5~10トン程度のディーゼル機関車、幹線では十数トンの蒸気機関車、木材運搬用貨車には鋼製および木製のボギー式トロが広く用いられた。森林鉄道は幅員が狭いので急峻(きゅうしゅん)な地形の渓谷などでも路床を開設できるため、かつて広く日本の森林の木材大量生産地帯に敷設された。しかし、急勾配(こうばい)の敷設ができないことと、ほかの車両の通行を許さないなどの理由から、自動車工業の台頭に伴い、トラック道を主とする林道にその地位を譲るに至った。かつての大森林鉄道地帯には、一部の路線と蒸気機関車および木材運搬用貨車、客車類を、森林鉄道博物館として保存している所が多い。国内では、自然保護を重視した屋久島(やくしま)の国有林などで森林鉄道が現存している。海外林業圏では、台湾の阿里山(ありさん)やアメリカ西海岸の一部などにみられる。