国会や地方議会の選挙で男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党や政治団体に求める法律。超党派の議員立法として2018年(平成30)5月に公布、施行された。正式名称は「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(平成30年法律第28号)。フランスの政党に候補者を男女半々とするよう義務づけたパリテ法(候補者男女均等・同数法、2001年施行)にならって、日本版パリテ法とよばれることもある。男性より議員数が劣りがちな女性議員を増やし、女性の意見や視点を国や地方の立法や政策に反映しやすくするねらいがある。有権者によるハラスメント(票ハラ)や先輩・同僚議員からのセクシュアル・ハラスメントやマタニティ・ハラスメント(マタハラ。妊娠・出産を契機とするハラスメント)が女性の政治進出の妨げになっているとして、2021年(令和3)の改正で、政党・政治団体、国、自治体、議会にセクハラ・マタハラを防ぐ規定の導入や、育児・介護を理由に議会を欠席できる制度づくりを求めた。ただ、男女同数から外れるほど政党助成金を強制的に減らされるパリテ法と異なり、日本の候補者男女均等法には罰則規定がなく、実効性に欠けるとの指摘が女性・人権団体などから出ている。
海外では1990年代から、多様な民意を政治に反映させるため、候補者数や議席数の一定割合を女性に割り当てるクオータ(割当て)制度の導入が進んだ。男女ペアでの立候補を義務づけたり、比例候補者名簿の順を1位から男女交互にしたりするなどの手法が普及し、世界約130の国・地域がなんらかのクオータ制度を導入済みである。女性議員比率が低かったフランスではパリテ法施行後、女性議員比率が5割に近づいてきた。国際機関の列国議会同盟の調査では、日本の女性議員比率は、衆議院や地方議会で1割台、参議院で2割台、世界193か国中166番目(2021年1月時点)であり、女性の政治進出が大幅に遅れている。