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セリ科(APG分類:セリ科)の一、二年草。和名ヒメウイキョウ(姫茴香)。ヨーロッパ原産で、石器時代から種子を香辛料や防腐剤に利用するため栽培された。日本へは明治初年に渡来したが、栽培は少ない。高さ30~60センチメートル、葉は2回羽状複葉で小葉は細く美しい。根は小さなニンジンのようで黄色肉質、風味もニンジンに似ている。春または秋に播種(はしゅ)すると、当年または翌年の初夏に白色花を開く。果実は細く、やや曲がった5ミリメートルほどで、果柄の先に2個が対(つい)になってつき、褐色に熟したときに収穫する。やや湿気の多い半日陰地でよく育つ。オランダが本場で、ポーランド、デンマークも産地である。近縁の香料植物イノンド(ディル)もヒメウイキョウとよばれることがあり、しばしば本種と混同される。
完熟した種子をまるごと、あるいは粗びきしたものを香辛料として使う。とくにライムギパン、ケーキ、ビスケット、クッキーなど焼き上げるものによくあう。チーズ料理にもあい、キャラウェーチーズもある。ドイツのキャベツ料理のザウアークラウトや、オランダの酒キュンメルには欠かせないものである。ヨーロッパではもっとも古くから薬味用として栽培されていたようで、スイスの古代湖上住居跡からも種子が発見されている。アラビア人がこの香辛料を知ったのは12世紀になってからで、キャラウェーという名はアラビア語のkarauyaからきている。シェークスピアの『ヘンリー4世』の文中にも出ている。