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日本大百科全書(ニッポニカ)

裁量的財政政策

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裁量的財政政策
さいりょうてきざいせいせいさく

政府がその時点の経済情勢を見極めて、議会の議決や行政府の決定に基づく裁量によって、税制の変更や政府支出の増加・減少を通じて、景気変動の緩和、すなわちマクロ経済の安定化を目ざすこと。

 もし、不況期に民間消費や民間投資といった民間需要が落ち込むならば、政府は減税や政府支出の増加といった財政出動を行うことで、景気の浮揚を目ざす。単純なケインズ・モデルでは、たとえば政府支出を1単位追加することで、国内総生産(GDP)は乗数倍増加することになる。ケインズ学派は、このことを根拠として、当期のGDPが完全雇用水準(完全雇用GDP、潜在GDP)を下回る場合に、上記のような財政出動を行うことを主張している。

 一方、経済が完全雇用に達しているときに総需要が拡大すると、インフレーションが進展する。このような場合には、政府支出の削減や増税などによって、総需要を引き下げて物価上昇の沈静化を図る。

 累進的な所得税や法人税、ないしは失業給付も景気調整機能をもつ。たとえば失業給付は、当然ながら好況期には減少する一方、不況期には増加し失業者を支援する。このように、政府の意思決定とは無関係に経済の変動に応じて税ないしは政府支出が変化することを、財政の自動安定化装置(ビルトイン・スタビライザー)とよぶ。

 ところで、マクロ経済政策には、三つのラグが生じるとされる。一つ目は、政府が現下の経済情勢を見極めるまでの認知ラグである。二つ目は、経済情勢の認識から実際に政策の発動に至るまでのラグであり、行動ラグとよばれる。この二つをあわせて、内部ラグとよぶ。最後は政策が発動されてから効果を発揮するまでのラグであり、外部ラグとよばれる。

 財政政策の場合、議会での審議、および予算成立から執行まで時間がかかることから、内部ラグは金融政策よりも長いことが指摘されている。実際に、1980年代以降、2008年に発生した世界金融危機までの間は、アメリカなど多くの先進諸国では金融政策をマクロ経済安定化政策のおもな手段とし、財政面での経済安定化は自動安定化装置に限定することで、大規模な財政出動は行われなかった。一方、日本は世界金融危機以前であっても、裁量的財政政策を積極的に行ってきた。たとえば1990年代には、ほぼ毎年景気対策のための補正予算を策定し、財政出動を行っていた。

[宮崎智視]2022年3月23日

©SHOGAKUKAN Inc.

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