人(自然人)が完全な行為能力者となる年齢をいい、それに達しない間を未成年という。日本では、1876年(明治9)の太政官布告以来、満20年をもって成年としてきた(民法旧4条)。しかし、2007年(平成19)の「日本国憲法の改正手続に関する法律(通称、国民投票法)」(平成19年法律第51号)では、「日本国民で年齢満18年以上の者は、国民投票の投票権を有する」(同法3条)とされた。また、選挙権に関しては、2015年(平成27)の「公職選挙法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第43号)により、公職の選挙の選挙権を有する者の年齢について、満20年以上から満18年以上に改められた(公職選挙法9条)。こうした流れを踏まえ、市民生活に関する基本法である民法においても、18歳以上の者を成人として取り扱うのが適切ではないかとの議論がなされ、2018年6月に、民法の定める成年年齢を18歳に引き下げること等を内容とする「民法の一部を改正する法律」(平成30年法律第59号)が成立した(2022年(令和4)4月1日施行)。
民法が定める成年年齢には、(1)単独で完全に有効な契約を結ぶことができる年齢という側面と、(2)父母の親権に服さなくなる年齢という側面がある。すなわち、(1)未成年者が法律行為をするときには、原則として法定代理人の同意を得なければならず(同法5条1項)、法定代理人の同意なしにした法律行為は、これを取り消すことができる(同条2項)。また、(2)父母は、未成年者の監護および教育をする義務を負う(同法818条・820条)。それゆえ、民法が定める成年年齢を20歳から18歳に引き下げると、18歳に達した者は、単独で有効な契約を結ぶことができ、かつ、父母の親権に服さなくなる。
また、2018年の改正前の民法は、婚姻開始年齢(婚姻適齢)を、男性18歳、女性16歳としつつ(同法旧731条)、未成年者であっても、婚姻すると成年に達したものとみなされる(同法旧753条)としていた(婚姻擬制)。しかし、同改正法では、女性の婚姻開始年齢を18歳に引き上げ、男女ともに18歳にならなければ婚姻することができないこととした(同法731条)。そして、これに伴い、婚姻擬制の規定(同法旧753条)を削除した。
そのほか、民法の成年年齢は、民法以外の法律においても、各種の資格の取得や各種行為を行うための基準年齢とされている。それゆえ、たとえば、10年有効のパスポートの取得や、公認会計士・司法書士・行政書士などの職業につくことも、18歳でできるようになる。しかし、飲酒・喫煙や、公営競技(競馬・競輪・オートレース・モーターボート競走)の年齢制限については、健康面に対する影響や青少年保護の観点から、従来の年齢要件(20歳)が維持されている。