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中国の絵付(えつけ)陶器の一種。宋時代(正しくは金(きん)時代)に世界に先駆けて発明された陶法で、赤絵とは、白地透明釉(ゆう)陶磁の釉面に独特の絵の具をのせ、低火度の錦窯(きんがま)で焼き付ける加飾法。中国では五彩とよび、日本では赤絵のほか、錦手(にしきで)、色絵ともいう。
赤絵技法は金時代の12世紀末に磁州窯系の窯で創始された。白化粧素地(きじ)にほのかにクリーム色を帯びた透明釉をかけ、赤、緑、黄の三色の上絵の具を用いて、巧みな筆致で明るく愛らしい草花、水禽(すいきん)、文字文様などを描いたもので、ことのほか愛陶家の間で人気が高い。東京国立博物館、大阪市立東洋陶磁美術館には金代の泰和元年(1201)銘の宋赤絵碗(わん)が蔵され、最古の紀年銘資料となっている。焼造窯では山東省の徳州窯、山西省の高平八義鎮(こうへいはちぎちん)窯、河南省禹(う)県扒(はい)村窯、登封曲河(とうほうきょくか)窯などが知られるほか、作風から、元(げん)時代(13~14世紀)にも焼造されたことがわかる。