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会社の損益状況や財政状態を実際よりよくみせようとするため、利益を過大に計上する会計行為。逆に利益を過少にみせようとする会計行為は逆粉飾という。粉飾決算を行う動機としては、金融機関からの借入の継続、配当の維持、株価の維持、さらには経営者の地位の保全などさまざまなものがある。このような動機から粉飾決算は、過去の事例では、経営者が行ったものがほとんどであるが、経営者からの厳しい業務目標などを原因として役員や管理職が行うケースも増えている。
粉飾決算の具体的な手法としては、売上げの過大・架空計上、費用の過少計上、預金や商品などの過大計上、借入金の過少計上などがある。これらの取引を取引先や子会社の協力のもとに行うことが多い。とくに、連結していない子会社やSPC(特定目的会社)を利用して架空の利益を計上する事例が増えている。
このような粉飾決算を防止するために、上場会社や大会社においては、公認会計士・監査法人による監査が法制度化されている。粉飾決算を行った経営者に対しては、金融商品取引法による有価証券報告書虚偽記載として、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、法人には7億円以下の罰金の厳しい制裁(金融商品取引法197条・207条)と金融庁長官の決定による課徴金納付制度が定められている。また、取締役などの役員が有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載などをして、これを知らずに有価証券を取得した者に損害を生じさせた場合には、その損害を賠償する責任を負う(同法24条の4)。