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児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病対策で指定する小児の難病。(1)慢性に経過する、(2)生命を長期にわたり脅かす、(3)症状や治療が長期間生活の質を低下させる、(4)長期にわたり高額な医療費負担が続く、の4要件を満たす疾患を厚生労働省の審議会で検討して指定する。2021年(令和3)11月現在、小児がん(悪性新生物)、慢性腎(じん)疾患、慢性心疾患、膠原(こうげん)病、先天性代謝異常など16疾患群788疾病が対象で、原則18歳未満まで、症状が続いている場合は20歳未満まで医療費助成などの支援が受けられる。
国内の小児の難病対策は1968年(昭和43)の先天性代謝異常に対する医療費給付に始まり、血友病、小児がん、慢性腎炎・ネフローゼと疾患別に対策が追加された。さらに1974年にこれらを統合した小児慢性特定疾患治療研究事業が創設された。その後、安定的に制度を運営するため2005年(平成17)に児童福祉法を改正し、同法の事業として位置づけられた。
現在の小児慢性特定疾病は、2015年に施行された成人対象の難病法における指定難病と対をなしている。だが子供の健全育成が目的の児童福祉法と、治療研究を柱とする難病法とで法の趣旨が異なっており、対象とする難病の範囲も異なる。このため、1型糖尿病のように小児慢性特定疾病であっても、成人では指定難病に該当しない疾患もあり、難病法の助成が受けられない。このため当該患者団体から見直しを求める声があがるといった課題がある。