国の一般会計における債務の元利償還費など、国債や借入金の償還や利払い、その事務経費などにかかる総費用をさす。地方公共団体が発行する地方債にかかる経費を含めて公債費という。
国債費は債務償還費、利払費、事務取扱費からなり、そのほとんどが国債整理基金特別会計に繰り入れられ、そこで実際の償還や利払いなどが行われる。債務償還費は、定率繰入れ、剰余金繰入れ、予算繰入れからなる。債務償還費の根幹となる定率繰入れは、国債償還の原則である60年償還ルールに基づき、前年度期首の国債発行残高の100分の1.6に相当する金額が計上される。剰余金繰入れは、前々年度の決算剰余金の2分の1以上を計上する。定率繰入れや剰余金繰入れは、いずれも財政法で定められたルールであるが、一般会計の新規財源債の発行額を表面的に抑制するため、繰入れ停止などが行われることがある。予算繰入れとは、交付国債など定率繰入れ対象外の債務の償還や、国債の早期償還など必要に応じて計上される。利払費は、利付国債と借入金の利子、そして割引国債の割引料からなる。
国債の大量発行を背景として、1970年代後半以降、国債費は急速に増大するようになり、1980年代後半には一般会計歳出に占める比率がおよそ2割に達し財政の硬直化が問題視されるようになった。その後も国債発行残高の累増とともに債務償還費は膨張を続けたものの、金利の低下により利払費の伸びは抑制されている。しかし、普通国債発行残高が2023年度(令和5)末見通しで1068兆円に上るなか、すこしの金利上昇が利払費の大幅な増加を生む構造となっている。国債の利払費を通じて財政破綻(はたん)の可能性を指摘した「一般化されたドーマーの法則」では、国債の加重平均利率が名目国内総生産(名目GDP)の伸び率を上回る場合、歳出に占める利払費の割合が無限に上昇する可能性を示している。