ジャパンナレッジ
硬骨魚綱スズキ目ヒメジ科に属する海水魚。茨城県から九州南岸にかけての太平洋沿岸、福井県から九州北岸と西岸にかけての日本海沿岸、屋久島（やくしま）、南西諸島、台湾、中国沿岸、オーストラリア東岸、ニュー・カレドニア、ペルシア湾、東アフリカなど西太平洋、インド洋に広く分布する。体は細長くやや側扁（そくへん）する。体長は体高の3.9～4.3倍。口は小さく、上顎（じょうがく）の後端は目の前縁下に達する。下顎は上顎より前に突出しない。上下両顎、鋤骨（じょこつ）（頭蓋（とうがい）床の最前端にある骨）および口蓋骨に絨毛（じゅうもう）状の歯が帯状に並ぶ。下顎の前端付近にある2本の短いひげは、前鰓蓋骨（ぜんさいがいこつ）の後縁下に達しない。頭長はひげの長さの1.4～1.9倍。前鰓蓋骨の後縁には鋸歯（きょし）がない。鰓耙（さいは）は上枝に5～6本、下枝に15～19本。背びれは2基でよく離れ、第1背びれが8棘（きょく）、第2背びれが9軟条で、第1背びれの第1棘はもっとも短い。臀（しり）びれは7軟条、胸びれは12～14軟条。尾びれの後縁は深く二叉（にさ）する。体ははがれやすい円鱗（えんりん）で覆われる。吻（ふん）の側面に鱗（うろこ）がある。側線鱗数は31～33枚。第2背びれの基底前部は小鱗をかぶる。体は背側面では褐色～緑灰色で、腹方は銀白色。吻端から目を横切って側線より上方の尾びれ基底に達する暗赤褐色～黒っぽい帯があり、その下方に多数の小さい暗色の斑点（はんてん）が散らばる。ひげは黄色。尾びれの上葉に4～6本、下葉に5～7本の暗色帯がある。第1背びれは白色で、先端部に大きい暗赤色～黒色の斑紋があり、そのなかに数個の黄色斑点がある。第2背びれに3本の暗赤色～黒色の帯状斑がある。内湾や礁湖の岩礁やサンゴ礁近くの砂底や砂泥底にすむ。ときには河口域でも見られる。最大体長は30センチメートルほどになる。おもに刺網（さしあみ）、定置網、底引網などで漁獲され、焼き魚、煮魚、フライにするとおいしい。