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宮崎県西都(さいと)市にある古墳群。東西2.6キロメートル、南北4.2キロメートルにわたる平坦(へいたん)な台地上に大小329基の古墳が群在する。このうち前方後円墳32基、方墳1基、ほかはすべて円墳である。1912年(大正1)から17年にかけて、時の宮崎県知事有吉忠一の提唱で、同県が主体となり、京大、東大、宮内省の諸学者により26基の古墳の発掘調査が行われた。皇祖発祥の地であることを立証するという目的は達せられなかったが、古墳の学術調査史上に一時期を画す大規模な調査であった。前方後円墳の規模としては全長35~90メートルのものが多く、外形は柄鏡(えかがみ)式、内部主体は粘土槨(ねんどかく)が多いが横穴式石室もあって、4世紀後半から6世紀にかけて営造されたものと推定される。出土遺物として著名なものに169号墳(円墳)出土の舟型埴輪(はにわ)、子持家型埴輪がある。群中とくに大きいのは陵墓参考地に指定されている男狭穂塚(おさほづか)(全長219メートル)と女狭穂塚(めさほづか)(179メートル)であり、この2基を除いて1952年(昭和27)特別史跡に指定され、現在は「西都原風土記(ふどき)の丘」として整備されている。