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神経原線維変化型老年期認知症

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神経原線維変化型老年期認知症
しんけいげんせんいへんかがたろうねんきにんちしょう
senile dementia of the neurofibrillary tangle type

神経原線維変化とよばれる病理所見が、脳内の海馬(かいば)を中心にみられることを特徴とする認知症性疾患。高齢発症の認知症の5%程度が本症と考えられている。健忘などの臨床症状は、アルツハイマー病に類似している。本症のほうが発症はより高齢(74~85歳)であり、進行はより緩徐とされるものの、両者の鑑別は容易ではない。しかし際だつ点は、アルツハイマー病ではアミロイドβ(ベータ)とよばれるタンパク質が凝集した「老人斑(はん)」と神経原線維変化の2種類の病的構造物が脳内に認められるのに対して、本症では神経原線維変化だけがみられるという差異である。ここを強調して現在の疾患名が提唱されている。なお本症には、英語、日本語ともにいくつかの異なった病名があるが、いずれもこの差異に注目したものである。

 また両者の鑑別に関するところでは、アルツハイマー病の発症促進因子であるアポリポタンパクE4(APOE4)の遺伝子多型の発現頻度が、本症では低いことも特徴的である。認知機能あるいは知能面では、記憶障害の進行が緩徐で軽度認知障害(MCI)レベルにとどまる例も多く、記憶以外の知能の要素や人格は比較的長く保たれやすい。

 しかし、本症に特徴的な生物学的マーカーや脳画像所見はまだないだけに、アルツハイマー病との鑑別はむずかしく、いまのところ確定診断は剖検脳(死後脳)の病理学的検査を行う以外には手段がない。臨床現場では、臨床症状と経過を軸に、脳画像所見などとあわせて本症を疑うかたちで臨床診断するのが実情である。もっとも近年では、神経原線維の成分であるタウ(タンパク質)に対するPET(ペット)検査の撮像技術が進歩しつつあり、生前診断の実現が期待されている。

[朝田 隆]2023年9月20日

©SHOGAKUKAN Inc.

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