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日本大百科全書(ニッポニカ)

緊急一時避難施設

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緊急一時避難施設
きんきゅういちじひなんしせつ
emergency temporary evacuation sites/area

弾道ミサイルなどで武力攻撃を受けた際に、一時的に避難する公共・公益的施設。国民保護法(正称「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」平成16年法律第112号)に基づき、2004年(平成16)から都道府県や政令指定都市に確保が義務づけられた。Jアラート発令時などに、避難者が1~2時間程度身を寄せる施設をさし、必要に応じて避難者を救援することを想定。爆風、飛来物、ガラス片などによる被害を軽減できる鉄骨・鉄筋コンクリート造りなどの堅牢な建築物や地下施設を、施設管理者の同意を得て指定する。壁の厚さ、扉の強度、放射能対策などの明確な基準はない。緊急一時避難施設のうち、多くの住民をより安全に避難させられる地下駅舎、地下街、大規模地下歩行空間などを大規模地下緊急一時避難施設とよぶ。2022年(令和4)4月時点で、地下駅舎、地下街、学校、公民館、図書館、体育館など全国5万2490か所が指定されており、このうち1591か所が地下施設である。政府はホームページ上で場所と名称を公表。2021年度から5年間を集中整備期間と位置づけ、都道府県などに、被害を軽減できる地下鉄駅舎、地下街、地下道などの指定を進めるよう要請した。

 国民保護法に基づく避難施設には、緊急一時避難施設のほか、避難住民を当面収容する施設(学校、公民館など)や、炊き出しや応急仮設住宅建設などに活用する施設(公園、広場など)がある。また、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づき、津波や洪水などの際に、高台などの逃げ場がない地域では、一時的に避難する災害時緊急一時避難施設が東北各県、北海道、沖縄県などで整備されている。

[矢野 武]2023年9月20日

©SHOGAKUKAN Inc.

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