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治療が困難で慢性の経過をたどる疾患を総称する一般用語だが、2015年(平成27)の「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)施行により、同法に基づいて338疾患(2021年11月時点)が指定難病とされた。また小児の難病に関しては、2005年の改正児童福祉法によって小児慢性特定疾病対策事業が始まり、16疾患群788疾病(2021年11月時点)が指定されている。行政的にはこれら二つが難病に位置づけられ、一般的な理解による難病とはかならずしも一致しない。また難病法施行以前、政府は原因不明で治療方法が確立されていない56疾患を特定疾患治療研究事業の「特定疾患」と位置づけ、医療費を助成していた。報道などでこれらを指定難病とよぶケースもあるが、厳密には行政的に位置づけられた難病とは異なる。
難病法施行に際し、厚生労働省は難病の定義を、(1)発病の機構が不明、(2)治療法が未確立、(3)希少、(4)長期の療養が必要、の4条件を満たす疾患と整理し、さらに指定難病には、(5)患者数が国内人口の0.1%程度以下、(6)客観的な診断基準が成立している、という2条件を加えた。対象となる疾患は厚生労働省厚生科学審議会指定難病検討委員会で適宜検討され、開始当初の110から5度にわたって追加されてきた。
一方、小児慢性特定疾病は、18歳未満の児童について(1)慢性に経過する、(2)生命を長期にわたり脅かす、(3)症状や治療が長期間生活の質を低下させる、(4)長期にわたり高額な医療費負担が続く、の4要件を満たす疾患を厚生労働省の審議会で検討して指定している。