国外へ送金すること。国際送金ともいう。海外送金は移民や外国人労働者の世界的増加に伴い、2000年以降ほぼ一貫して増えている。世界銀行によると、2022年の世界全体の海外送金のうち、本国送金額は6470億ドルに達し、インド、メキシコ、中国向け送金が多い。海外送金は、銀行を経由した送金と、銀行以外の事業者によるインターネット送金に分けられる。2008年のリーマン・ショックを機に、インターネット経由で割安・短時間で送金できる新手法の開発・普及が世界規模で進んでいる。
銀行を使った海外送金は、国際銀行間通信協会(スイフト、1973年発足)の決済網を通じて送金・決済され、約200の国・地域へ送金できる。企業買収などの巨額送金も可能。邦銀もスイフトの決済網に参加しており、顧客は海外の中継銀行(コルレス)を経由し、相手の口座のある銀行へ送金する。このため決済期間が数日~10営業日ほどかかる。送金額や送金国によって手数料は1000~8000円程度かかり、中継銀行に支払う手数料なども別途必要である。
日本では銀行以外の事業者によるネット送金サービスは、2009年(平成21)の改正資金決済法の成立で解禁された。おもに金融とIT(情報技術)を融合したフィンテック事業者によって提供されており、取引参加者が互いの取引記録を保有・監視しあうブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)などを駆使することで、手数料を0~数千円に抑え、365日24時間、数十秒~数日で送金できる。銀行口座をもっていなくても、電子マネー決済を利用することで決済可能である。ただし送金できる金額には数千万円などの上限があり、送金対象国・地域も主要数十か国に限られる。
また、ネット送金は違法取引、脱税、資金洗浄(マネーロンダリング)に利用されやすく、この対策のためのコストがかかる。世界銀行は2008年から海外送金のコストなどのデータを公表し、海外送金のコスト低減を促している。