ゲーム、アニメ・漫画、キャラクター、映像・画像、音楽、演劇、文芸、新聞記事などの創作物を扱う産業。コンテンツ(contents)は「情報の内容」という意味で、コンテンツ促進法(正称「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」平成16年法律第81号)はコンテンツ産業を「人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するもの」と定義している。ゲームソフトやアニメ・漫画の制作会社、映画配給会社、動画配信会社、音楽やスポーツのライブ運営会社、放送局、出版・新聞社、広告代理店などが該当する。1980年代にはソフトウェア産業と総称されたが、1990年代に入り、コンピュータソフト産業とは区別し、ゲーム、アニメ、映像・音楽などの産業をひとくくりにコンテンツ産業とよぶようになった。製造業などに比べ知識集約的で、付加価値が高いとされるほか、(1)情報技術(IT)と親和性が高く、デジタル化が急速に進んでいる、(2)法的・技術的な知的財産権の権利保護が重要である、(3)販売促進や観光・地域振興などの経済波及効果が大きい、などの特徴をもつ。経済産業省によると、2023年の世界のコンテンツ産業の市場規模は約1.3兆ドル、日本は約1000億ドルで、高い成長を続けている。文化庁が2008年度(平成20)から、アニメや漫画などのメディア芸術を芸術選奨の対象に含めるなど、コンテンツ産業は文化振興の一翼も担っている。
日本のモノづくり産業の停滞・衰退を踏まえ、コンテンツ産業は日本経済の成長を牽引(けんいん)する産業の一つとして関心が高い。日本政府は2004年にコンテンツ産業を振興するコンテンツ促進法を制定。2013年に官民で資金支援するクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)を設け、日本発コンテンツの海外市場開拓を促すクールジャパン戦略を進めている。しかしゲームやアニメなどの日本発コンテンツは人気が高いものの、中国、韓国などの台頭で国際競争力が低下し、経済界などから若手クリエーターの育成、発信拠点の整備、資金調達の円滑化や調達手法の多様化などの政策支援を求める声があがっている。