「出入国管理及び難民認定法(入管法)」違反者のうち、不法残留者であることを自ら認めて出頭し、不法残留以外の退去強制事由に該当しておらず、過去に入管法違反を犯したことがなく、かつ他に刑事罰で訴追を受けるような刑罰を受けたことがない者であって、自ら速やかに日本から出国する意思をもち、そのことが確実と見込まれる場合に、簡易な手続により速やかに出国させるための手続(入管法24条の3)。
入管法違反者の自主的な出頭を促進するとともに、出入国在留管理庁の限られた人員を有効に活用し、不法滞在者をより迅速かつ効率的に出国させるため、退去強制手続の例外として2004年(平成16)の入管法改正により設けられた。
退去強制事由に該当するかどうかを調査する過程において、入国警備官が、当該外国人を出国命令対象者に該当すると認めるに足りる相当の理由があるときは、当該外国人は入国審査官に引き渡され、入国審査官が出国命令該当者かどうかを審査する(入管法55条の84-86)。出国命令該当者であると認定された場合には、既に放免されている状態にある監理措置に付されている者を除き収容から放免される(入管法47条2項)。退去強制により出国した者は原則として5年間または10年間の上陸拒否期間が課せられるが、出国命令に応じた者は1年間に短縮される(入管法5条1項9号ニ)。これは、入管法違反行為への制裁を軽減するとともに、出国命令に応じてもらうことを促す目的がある。出国命令を受けた者は、出国期限までに自主的な出国に必要な準備をさせるため、その限度において同人の日本での在留が適法化される。出国期限を経過して日本に残留する場合は新たな退去強制事由となる(入管法24条8号)。