国内人材の確保が困難な産業分野において一定の専門性・技能をもつ外国人に与える在留資格。人口減少による日本の労働力不足に対応し、「出入国管理及び難民認定法」(昭和26年政令第319号、略称「入管法」「入管難民法」)に基づき、2019年(平成31)4月に新設された(2018年法改正)。一定の技能をもつ人を対象とし在留期間5年の「特定技能1号」と、熟練した技能をもち事実上日本に永住し家族も帯同できる「特定技能2号」の2種類がある。いずれも技能と日本語の試験に合格する必要がある(2年10か月以上の技能実習を修了していれば試験は免除)。事業主は、日本人と同等以上の報酬を支払い、年金などの社会保障への加入が義務づけられる。同じ業種や業務であれば、転職も可能。従来の技能実習制度が途上国の経済発展を名目に期間限定で外国人労働力を活用する制度であったのに対し、特定技能は外国人の長期就労を容認して深刻な労働力不足を補う目的がある。日本政府は当初、特定技能導入から5年で最大約34万5000人の受入れを計画したが、新型コロナウイルス感染症(COVID(コビッド)-19)流行による渡航制限で、2023年(令和5)6月末時点で、特定技能1号の在留者は約17万3000人、特定技能2号は12人にとどまる。特定技能をもつ労働者やその家族の言語、教育、医療・福祉などを支援する体制の整備が課題である。
特定技能1号は介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野(当初の14分野を2022年に統合)が対象。在留期間は通算最長5年で、家族の帯同はできない。特定技能2号の対象は、1号対象分野のうち介護を除く11分野(当初の2分野を2023年に拡大)。分野別の試験に合格すれば、在留期間を繰り返し更新でき、事実上、日本に永住できる。なお、介護分野も、1号取得者が介護福祉士の資格を取得すれば長期就労が可能であるため、特定技能1号の12分野すべてで日本での永住の道が開かれたことになる。