男女平等の実現や女性の地位向上を目ざす国際連合総会の補助組織。UNウィメンは略称で、正式名称は「ジェンダー平等と女性の権限拡大のための国際連合機関United Nations Entity for Gender Equality and the Empowerment of Women」。2010年の国連総会決議に基づき、国連女性開発基金(UNIFEM)、国連女性地位向上部(DAW)、国際婦人調査訓練研究所(INSTRAW)、国連ジェンダー問題特別顧問事務所(OSAGI)の四つの国連機関を統合して発足し、2011年から活動を開始した。(1)女性のリーダーシップの向上と参画の増加、(2)女性に対する暴力の撤廃、(3)平和と安全保障のあらゆる局面における女性の関与、(4)女性の経済的エンパワーメントの推進、(5)国家の開発計画と予算におけるジェンダー平等の反映、を優先課題として活動している。とくに、紛争地帯、感染症蔓延(まんえん)地域、女性抑圧策を続ける国・地域などでの実態を調査し、支援や女性の尊厳回復を国際社会に働きかける活動に力を入れている。ニューヨーク本部のほか地域事務所、国別事務所、地域間を連携するリエゾン事務所を置く。2015年(平成27)に設立された日本事務所(東京都文京区)はアジア唯一のリエゾン事務所。組織のトップは事務局長で、初代事務局長はチリ初の女性大統領だったミチェル・バチェレ・ヘリアMichelle Bachelet Jeria(1951― )、2代目に南アフリカ共和国初の女性副大統領だったプムズィレ・ムランボ・ヌクカPhumzile Mlambo-Ngcuka(1955― )がつき、2021年に3代目としてヨルダンの閣僚などを歴任したシマ・サミ・ボホスSima Sami Bahous(1956― )が就任した。活動資金は加盟国の拠出金と民間企業・支援団体などの資金提供で確保し、2021年度の総収入は約5億5630万ドル。約40か国で構成する執行理事会がUNウィメンの計画や活動実績を承認・監査する。活動を支援するため世界10か国以上に独立の非政府組織(国内委員会)があり、日本には認定NPO法人「国連ウィメン日本協会」がある。