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生没年未詳。14世紀前半ごろに活躍したと推定される日本画家。水墨の道釈(どうしゃく)人物画に優れた作を残している。彼の作品のほとんどに「可翁」および「仁賀」の朱文方印が押されており、可翁仁賀と称したことは確実であるが、その伝歴については諸説ある。その代表的なものが、可翁を鎌倉時代の絵仏師宅間(たくま)派の画人とする説で、これは宅間派の画人が歴代その名に「賀」の字を使っていることから、可翁仁賀も同派に属すとする。これとは別に、可翁を筑前(ちくぜん)の人で南浦紹明(なんぽじょうみょう)の法を嗣(つ)ぎ、元(げん)にも渡った高僧可翁宗然(そうねん)(?―1345)と同一人とする説もあり、現段階ではいずれとも決めがたい。ただ、現存する可翁画には本格的な仏画が1点も見当たらないこと、またその表現に鋭い禅の機鋒(きほう)が込められており、それらがよほどの禅僧の作であると想像させること、さらにはその道釈人物画に元画との近似性が認められることなどより、後者の可翁仁賀・宗然同一人説が有力となっている。しかし、可翁宗然の伝記に画事に関する記録がまったくなく、また「仁賀」印のもつ意味についても依然不明のままで問題は残る。代表作に『蜆子和尚図(けんすおしょうず)』(東京国立博物館)、『寒山図』『竹雀図』(奈良・大和(やまと)文華館)などがあり、いずれもがあふれんばかりの禅機に満ち、禅の心の端的な表現となっている。