太平洋周辺の国々を中心にした国際経済連携協定。関税を大幅に引き下げ、投資や金融サービスの自由化を進め、環境や雇用などで公正な通商ルールの構築を目ざす。正式名は「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」で、CPTPPはこの略称である。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から離脱したアメリカを除く国々が参加する国際協定で、「アメリカ抜きTPP」、あるいはTPPに加盟国数を加えて「TPP12」とよばれる。参加国は2023年末時点で、日本、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、メキシコ、チリ、ペルー、イギリスである。なお、一般にTPPという場合、このCPTPPをさすことが多い。
TPPは2016年に発足するはずだったが、アメリカが2017年、大統領トランプ(当時)の意向で離脱。このため関税の撤廃・引下げ(市場アクセス)、投資や金融サービスの自由化などを柱とするTPPのうち、アメリカの要求で盛り込まれていた知的財産権の保護(11項目)、サービス貿易の自由化(2項目)、政府調達(2項目)、投資の自由化(1項目)など22項目の効力を凍結したCPTPPに合意し、2018年に11か国で発効した。その後、ヨーロッパ連合(EU)から離脱したイギリスが2023年に加わった。CPTPPはTPPを基礎としており、関税の撤廃・引下げ、国有企業への優遇の縮小、電子商取引の推進など、貿易や投資の自由化原則を踏襲する七つの条文からなる。鉱工業品、農産物など全品目・貿易額の99.9%(日本は95%)の関税が撤廃され、投資や知的財産保護のルールを確立し、外国人労働者の受け入れに関する規制も少なくなる。なおCPTPPは、アメリカの協定復帰を待って、加盟国の合意を得たうえで、凍結項目を解除する方針である。