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江戸中期の京都の浮世絵師。上方(かみがた)浮世絵の前半期を代表する美人風俗画家で、幼名庄七郎(しょうしちろう)、俗称宇右衛門(うえもん)。西園寺致季公の御家人(ごけにん)となり右京と称す。号は自得叟(じとくそう)、自得斎、文華堂。狩野永納(かのうえいのう)および土佐光祐(みつすけ)に学んだといわれ、加えて菱川師宣(ひしかわもろのぶ)、吉田半兵衛風などを摂取して、写実を基礎とした豊麗にして品格のある女性表現に新様を打ち出し一流をなした。すでに1699年(元禄12)ごろから八文字屋本の挿絵画家として活躍、1723年(享保8)刊の『百人女郎品定(ひゃくにんじょろうしなさだめ)』を機に絵本中心に作画し、60種を超える絵本を刊行、奥村政信(まさのぶ)、鈴木春信(はるのぶ)など江戸の浮世絵師にも多大の影響を及ぼした。代表作は『絵本常盤草(ときわぐさ)』(1731)、『宮詣(みやもうで)図』(1幅、ワシントン、フリーア美術館)、肉筆画『柱時計と美人図』(1幅、2種、東京国立博物館ほか)などがある。