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哺乳(ほにゅう)綱クジラ目ナガスクジラ科に属するヒゲクジラ。体はずんぐりした紡錘形で、昔、座頭とよばれた盲目の法師が演奏した琵琶(びわ)に形が似ているのでこの名がついたとされる。両顎(りょうがく)唇部にこぶし大のこぶが多数並んでおり、下顎先端下部に大きな突出がある。胸びれは長く、体長の3分の1くらいあり、その前縁は凸凹している。14~35本の幅広い畝(うね)が胸腹部に存在する。背びれは小さく三角形をなし、尾びれの後縁にも凸凹がみられる。上顎口中には黒色のくじらひげが片側270~400枚櫛(くし)状に並び、動物プランクトンや群集性魚類を漉(こ)して食べる。背部は黒色、胸腹部には種々の広がりの白色斑(はん)が存在する。世界の海洋に分布し、繁殖は冬期亜熱帯のバンク上で行われ、夏には索餌(さくじ)のために高緯度海域に回遊する。本種は国際捕鯨取締条約によって商業的捕獲が禁止されており、最近では資源の回復が世界の各地から報告されている。