経営に行き詰まった法人(企業、学校、病院など)を、裁判所の監督下で会社更生法などの倒産法制に基づいて処理する手続。対義語として、法的倒産手続を経ずに当事者らの協議で解決する私的整理がある。法的整理は、手続後も事業を継続する「再建型」と、財産を債権者らに分配して法人をたたむ「清算型」に分かれる。再建型の法的整理には会社更生法や民事再生法に基づく手続があり、清算型の法的整理には会社法に基づく特別清算や破産法に基づく破産がある。
法的整理は私的整理に比べ、裁判所が関与する倒産手続に基づくため、債務者の資産隠しなどの不正行為が起きにくく透明性が高いうえ、債権放棄(借金棒引き)や経営責任追及などに関する公平性も高い。債権者全員の同意がなくても強制的な債権カットなどの処理計画をたてることができ、債権放棄損失の無税償却も認められている。債権者が多数だったり、公的融資を受けていたりするなど債権・債務関係が複雑な場合に適している。しかし、法的整理は、法的倒産手続に入ったことが公示・周知されるため、法人イメージが低下して企業価値を毀損(きそん)するケースがある。また融資債権だけでなく、仕入先などの債権も放棄対象となるため、連鎖倒産が起きることがある。厳密に倒産法制に基づく手順をとるため、一般に私的整理に比べ処理期間・コストがかかり、経営難の法人は私的整理を望む場合が多い。
一方、私的整理には、弁護士らが介在しながら当事者で解決する任意整理のほか、第三者機関が関与する事業再生ADR(裁判外紛争解決手続)や地域経済活性化支援機構(REVIC(レビック))の活用など準則型手続がある。
なお、アメリカでは企業や自治体の破綻(はたん)処理を定めた連邦破産法に基づく手続が法的整理にあたる。ヨーロッパでは、裁判所に手続申請するものの、裁判所の関与度合いが希薄な手続(out of court workout)など、法的整理と私的整理の中間的手法が発達している。