世界全体で取り組む、2016年から2030年までに達成すべき17の環境、開発、人権などに関する国際目標。Sustainable Development Goalsの略称で、日本では「持続可能な開発目標」と訳される。2015年の「国連持続可能な開発サミット」で世界193か国の加盟国が全会一致で合意し、2015年に達成期限を迎えたミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)の後継として採択された。地球環境や気候変動に配慮しながら、持続可能な暮らしや社会を営むため、世界各国の政府や自治体、非政府組織、非営利団体だけでなく、民間企業や個人などにも共通した目標である。発効は2016年1月。「だれひとり取り残さない」(No one will be left behind.)をスローガンに、「貧困や飢餓の根絶」「質の高い教育の実現」「女性の社会進出の促進」「再生可能エネルギーの利用」「経済成長と、生産的で働きがいのある雇用の確保」「強靭(きょうじん)なインフラ構築と持続可能な産業化・技術革新の促進」「不平等の是正」「気候変動への対策」「海洋資源の保全」「陸域生態系、森林資源の保全」など17の目標と、各目標を実現するための169のターゲット(小目標)からなる。MDGsが途上国の貧困・飢餓の撲滅や教育の確保に主眼を置いていたのに対し、SDGsはすべての国・地域を対象とし、MDGsの目標に加えて経済危機、気候変動、感染症、難民問題や紛争などへの対処にも力点を置いている。目標には法的拘束力はなく、達成状況を測る方法も各国に任されている。
SDGs達成の進捗(しんちょく)度を検証するため、国連は4年ごとに国連本部で、各国首脳級によるSDGサミットを開催しており、実施期間の折り返し点となる2023年のSDGサミットでは「達成は危機に直面している」との認識を共有した。国連調査では、検証可能な約140ターゲットのうち、順調に推移するのは15%にとどまり、48%は達成軌道から外れ、37%は2015年の開始年と比べ停滞・悪化している。国連とドイツのベルテルスマン財団が共同でまとめた世界166か国のSDGs達成ランキング(2023年7月公表)によると、フィンランド、スウェーデンなど北欧諸国が上位を占め、日本は21位、アメリカは39位、中国は63位であった。日本政府は2016年(平成28)、SDGs推進本部(本部長は内閣総理大臣)を設け、毎年、企業・団体の取り組みを促すアクションプランを策定している。