硬骨魚綱スズキ目アジ科アジ亜科に属する海水魚。南西諸島を除く南日本各地、小笠原(おがさわら)諸島、朝鮮半島南岸、渤海(ぼっかい)、南シナ海、フィリピン諸島、マレー半島、インド東岸、アラビア湾など西太平洋、インド洋に広く分布する。体高はきわめて高く、著しく側扁(そくへん)する。項部(背びれ起部より前の後頭部)は大きく盛り上がる。腹面の中央に腹びれ、肛門(こうもん)、臀(しり)びれ棘(きょく)を収める深い溝がある。眼径は吻長(ふんちょう)よりわずかに大きい。脂瞼(しけん)(目の周囲や表面を覆っている透明の膜)は発達しない。上顎(じょうがく)の後端は目の中央下付近に達する。上顎に小さい歯が狭い帯状に並び、前部でその幅がもっとも広い。下顎には小さい歯が1列に並び、前部で2~3の不規則な列になる。鰓耙(さいは)は上枝に8~11本、下枝に19~22本。背びれは2基で、第1背びれは8棘で長く、鰭膜(きまく)が発達する。第2背びれは1棘19~22軟条。臀びれの前方にある2本の遊離棘は明瞭(めいりょう)で、その後ろに1棘17~18軟条がある。成熟した雄では第2背びれの中央部の第6~12軟条が糸状に伸びる。臀びれの数軟条も伸長する。しかし、それらの長さには著しい個体差がある。側線の湾曲部の長さは直走部の長さより著しく短い。稜鱗(りょうりん)(鋭い突起を備えた肥大した鱗(うろこ)。一般には「ぜんご」「ぜいご」ともいう)は31~37枚で、側線の直走部の全長にわたる。胸部の無鱗域は腹面では腹びれの後方まで、そして側面では胸びれ基底の無鱗域まで斜めに伸びる。体の背側面は青緑色で、腹面は銀白色。鰓蓋(さいがい)の上端に黒斑(こくはん)がある。腹びれの鰭膜は黒色で、軟条の基部は白色。幼魚には体に不明瞭な暗色帯がある。最大全長は約27センチメートルで、30センチメートルを超えることはない。沿岸の浅所にすみ、しばしば表層近くでも遊泳する。おもにエビ類、コペポーダ類など甲殻類、小さい魚類などを食べる。底引網、延縄(はえなわ)などでとれるが、日本の漁獲量は非常に少ない。