硬骨魚綱スズキ目ヒイラギ科に属する海水魚。日本では南西諸島でとれるが、台湾南部や広東(カントン)省、海南島などの中国の大陸沿岸、南沙(なんさ)群島、アフリカ東岸から紅海、カロリン諸島、サモア諸島などインド洋、西太平洋に広く分布する。体高はきわめて高く、側扁(そくへん)する。体長は体高の1.7~1.9倍。体の背部は盛り上がる。口は小さく、突出させたときに下方を向く。主上顎骨(しゅじょうがくこつ)の後端は目の前縁下方に達する。上下両顎に大きい犬歯状歯がない。鰓耙(さいは)は短くて、それぞれの鰓耙の位置にある鰓葉長の2分の1以下である。鰓耙数は上枝と下枝をあわせて18~22本。頭部と胸部に鱗(うろこ)がない。側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は61~66枚。成魚では体は背面が灰色で、腹面が銀色。体の背面に平行して走る多数の薄い帯状の線がある。普通は尾柄(びへい)上に暗褐色の鞍状斑(あんじょうはん)がある。背びれの軟条部の縁辺は黒い。胸びれの基底部の上下端は灰色~黒色。稚魚では細い灰色の線が体の背側面に走り、臀(しり)びれ棘(きょく)の鰭膜(きまく)は黄色。水深70メートル以浅の沿岸域の砂泥底にすむ。稚魚は水深1~10メートルのマングローブ域にいるが、汽水域にも入る。おもに多毛類、小さい甲殻類、小魚などを食べる。最大全長は24センチメートルになるが、普通は約18センチメートル。底引網、定置網、引網(ひきあみ)などで漁獲される。インドでは4~5月に表層近くで群れているところを流し網で漁獲する。大きいものは生鮮魚や干物にするが、小さいものはアヒル類の餌(えさ)や魚粉に利用するか、捨てられる。
本種は体高が高くて、胸部に鱗がないことなどでシマヒイラギL. fasciatusに似るが、シマヒイラギは背びれ第2棘が糸状に伸長すること、体の背側面の横帯が10~15本であること、生時に体の中央部に黄色斑があることなどで本種と区別できる。
本種はセイタカヒイラギ属Leiognathusに属する。以前、Leiognathusはヒイラギ属の属名であったが、2008年(平成20)に魚類研究者の木村清志(せいし)(1953― )らによってヒイラギ属が再検討され5属に分けられ、それぞれに新和名が提唱された。その際、種としてのヒイラギの属名がLeiognathusからNuchequulaに変わったため、後者がヒイラギ属になり、前者にセイタカヒイラギ属の新属名が与えられた。