硬骨魚綱スズキ目ヒイラギ科に属する海水魚。日本では宮崎県目井津(めいつ)、沖縄本島、八重山(やえやま)列島でとれているが、台湾、海南島などインド洋、西太平洋に広く分布する。体高はきわめて高く、側扁(そくへん)する。体高は体長の42~60%。体の背部は目の上方で顕著に盛り上がる。吻(ふん)は眼径より短く、鈍い。口は小さく、突出させたときに下方を向く。主上顎骨(しゅじょうがくこつ)の後端は目の前縁下を越える。上下両顎に大きい犬歯状歯がない。鰓耙(さいは)はそれぞれの位置にある鰓葉の長さにおよそ等しい。鰓耙数は上枝と下枝をあわせて23~28本。頭部には鱗(うろこ)がないが、胸部は完全に鱗をかぶる。側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は49~56枚。背びれと臀(しり)びれの第2棘(きょく)は頑丈で、伸長しない。体は背面が銀灰色で、腹面が銀色。成魚には側線の上方に多数の薄い灰色の波状の垂直線、稚魚にはわずかな斑点(はんてん)がある。側線鱗、胸びれ鰭条(きじょう)の基底、背びれと臀びれの縁辺は鮮黄色である。背びれの棘部の先端の3分の1に黒斑がある。水深65メートル以浅の沿岸域の砂泥底に群れですむ。稚魚は水深10メートルあたりから、マングローブ域にまでいる。おもに植物の残骸(ざんがい)物、小さい軟体動物などを食べる。最大全長は15センチメートルになるが、普通は約10センチメートル。産卵は一年中行われているが、オーストラリアの熱帯域では10月に産卵することが知られている。おもに底引網で漁獲されるが、地引網、定置網、引網(ひきあみ)などでも漁獲される。大きいものは生鮮魚や干物にするが、小さいものはアヒル類の餌(えさ)や魚粉に利用するか、捨てられる。
本種は体高が高くて(体長の42~60%)、口を閉じたときに口裂が目の下方にあること、胸部が完全に鱗をかぶることなどの特徴から、2008年(平成20)に魚類研究者の木村清志(せいし)(1953― )らによってLeiognathus(旧ヒイラギ属)からタイワンヒイラギ属Eubleekeriaに含められた。