硬骨魚綱スズキ目ヒイラギ科に属する海水魚。日本では高知県以布利(いぶり)、鹿児島県志布志(しぶし)湾、沖縄本島でとれている。台湾南部や青島(チンタオ)、福建(ふっけん)省、海南島などの中国の大陸沿岸、トンキン湾などインド洋、西太平洋に分布する。体は卵円形で、強く側扁(そくへん)する。体高は体長の44~58%。体の背部と腹部の外郭はおよそ等しく湾曲する。口は小さく、突出させたときに前方を向く。主上顎骨(しゅじょうがくこつ)の後端は目の前縁下に達する。上下両顎に同じ形の円錐歯(えんすいし)が1列に並ぶ。鰓耙(さいは)は細長くて、それぞれの鰓耙の位置にある鰓葉の長さとほとんど同長である。鰓耙数は上枝と下枝をあわせて19~23本。頭部は無鱗(むりん)で、胸部には鱗(うろこ)がある。側線有孔鱗数は45~49枚。体は全体に銀色で、背側面に暗色の短い虫食い状斑(はん)がある。背びれの第2~5棘(きょく)の鰭膜(きまく)の上半分は橙(だいだい)色。水深10~160メートルの沿岸域の砂泥底に群れですむ。コペポーダ、毛顎類、貝虫(かいむし)類、仔魚(しぎょ)などを食べる。最大全長は11センチメートルになるが、普通は約8センチメートル。北オーストラリアの産卵期は9月~12月。おもにトロール網などで混獲され、アヒル類や養殖魚の餌(えさ)にするか、魚粉に利用するが、ほとんどは捨てられる。
本種は上下両顎に犬歯がなく、口が前方に向くキビレヒイラギ属に属する。日本にはこの属にもう1種、キビレヒイラギP. aureusが沖縄本島からとれている。キビレヒイラギは体高が低くて、体長の35~46%であること、目の下縁から下顎の後端へ向って黒線が走ることなどで本種と区別できる。