硬骨魚綱スズキ目シマガツオ科に属する海水魚。北海道以南の日本海と太平洋沖、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、九州・パラオ海嶺(かいれい)、渤海(ぼっかい)、台湾、オーストラリア、カリフォルニア、南アフリカなど太平洋とインド洋に広く分布する。体は卵円形で、側扁(そくへん)する。体高は体長の半分よりやや高い。尾柄(びへい)は細く、その背面に溝がある。吻(ふん)から後頭部にかけての背部外郭は湾曲する。両眼間隔域は丸く突出する。吻は比較的長くて、眼径より長い。目は小さく、縦長である。口は著しく斜めで、その後端は瞳孔(どうこう)の後縁下に達する。上下両顎(りょうがく)の歯は小さく鋭い円錐歯(えんすいし)で、前部で幅広い歯帯に、側方で2~3列、後方で1列になる。口蓋骨歯(こうがいこつし)は1~3列に不規則に並ぶが、鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)には歯があったり、なかったりする。体は円鱗(えんりん)で覆われるが、吻部、両眼間隔域および下顎の下面には鱗(うろこ)がない。縦列鱗数は34~38枚。背びれ、臀(しり)びれおよび尾びれの大部分は小鱗をかぶる。背びれは腹びれの後端上方から、臀びれは胸びれの先端から4分の1の下方から始まり、両ひれの前部鰭条(きじょう)は長く、鎌(かま)状に突出する。背びれ軟条は33~37本、臀びれ軟条は26~28本。胸びれは長く伸び、臀びれの起部を著しく越える。腹びれは胸びれの基部上端よりも後方から始まり、左右のひれがかなり離れる。生時には、体は黒色。背びれと臀びれの鎌状部は紫がかった銀灰色で、縁辺は黒い。鎌状部より後ろのひれは銀灰色で、縁辺のみ白色。尾びれの後縁は三日月状に白く、胸びれの下半分と腹びれの後端も白い。外洋の水深18~720メートルの中層域にすむが、300~400メートルに多い。おもに魚類、イカ類、甲殻類などを食べる。延縄(はえなわ)、底引網などでまれに漁獲される。体長約1.7センチメートルの稚魚は体が卵形で、頭から尾部に向かって全身に小棘(しょうきょく)をもった鱗が縦走する。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の縁辺は鋸歯(きょし)状である。上下両顎に鋭い犬歯が並ぶ。最大全長は80センチメートル。刺身、煮つけ、みそ漬、粕(かす)漬などにする。肉は白身でやや美味。
両眼間隔域が突出すること、体高は著しく高いことなどで、同じシマガツオ科のシマガツオ属の魚に似るが、本種は背びれと臀びれの前部軟条が鎌状に伸びること、左右の腹びれが離れていることなどで区別できる。左右の腹びれが離れていることで、同科のチカメエチオピアEumegistus illustrisにも似るが、チカメエチオピアは背びれと臀びれが鎌状に伸びないことで本種と区別できる。