硬骨魚綱スズキ目シマガツオ科に属する海水魚。北海道以南の日本海と太平洋沖、千島(ちしま)列島東方海域、朝鮮半島、台湾、フィリピン、オーストラリア、南アフリカなど西部・中部・東部太平洋、インド洋、大西洋に広く分布する。体は卵円形で、側扁(そくへん)する。体高は体長の半分よりやや低く、尾柄(びへい)は細い。吻(ふん)から後頭部にかけての背部外郭はほとんど直線状である。両眼間隔域は平坦(へいたん)で、ほとんど突出しない。吻は短くて、眼径のおよそ半分。目は大きく、上縁は頭部の背縁に近い。口は斜めで、その後端は目の中央部下に達する。鱗(うろこ)は大きく、縦列鱗(りん)数は40~47枚。尾柄の中央部に大きい鱗がない。背びれは胸びれ基底よりも後方から、臀(しり)びれは胸びれの先端から3分の1の下方から始まり、両ひれの前部鰭条(きじょう)は鎌(かま)状に突出する。背びれ軟条は26~35本、臀びれ軟条は20~30本。背びれと臀びれの基底に鱗鞘(りんしょう)(基底付近を覆う鱗)がある。胸びれは長く伸び、臀びれの起部を越える。腹びれは胸びれの直下にあり、左右のひれが接近する。生時には、体と各ひれは銀白色を帯びた黒褐色。外洋の水深550メートル以浅の中層域にすむ。おもに延縄(はえなわ)、底引網などで漁獲されるが、マグロ延縄漁の副産物としてとれることが多い。市場に出回ることは少ない。最大体長は45センチメートルになる。刺身、煮つけ、みそ漬、粕(かす)漬などにする。肉は白身でやや美味。
本種はマンザイウオ属に属する。両眼間隔域が平坦で、あまり突出しないこと、体高が著しく高くないことなどで、同属のツルギエチオピアT. rubescensに似るが、ツルギエチオピアは尾柄の中央部に肥大した鱗をもつこと、全脊椎(せきつい)骨が少なくて39~41本(マンザイウオでは42~43本)であることなどで区別できる。