大型レジャー施設の一類型。2020年経済構造実態調査(2021年、総務省・経済産業省)の定義では、「入場料をとり、特定の非日常的なテーマのもとに施設全体の環境づくりを行い、テーマに関連する常設かつ有料のアトラクション施設を有し、パレードやイベントなどを組み込んで、空間全体を演出する事業所」のことをいう。ここでいうアトラクション施設とは、「映像、ライド(乗り物)、ショー、イベント、シミュレーション、仮想体験(バーチャルリアリティ)、展示物の施設」などをさす。それに対して、遊園地とは、「主として屋内、屋外を問わず、常設の遊戯施設を3種類以上(直接、硬貨・メダル・カード等を投入するものを除く)有し、フリーパスの購入もしくは料金を支払うことにより施設を利用できる事業所」と定義されている。遊戯施設とは、「コースター、観覧車、メリーゴーランド、バイキング、フライングカーペット、モノレール、オクトパス、飛行塔、ミニSL、ゴーカート」などである。
日本におけるテーマパークの起源は、1983年(昭和58)に開業した東京ディズニーランド(千葉県浦安(うらやす)市)である。そのため、テーマパークの定義は東京ディズニーランドの業容を説明するような文言となっている。1970年代までの遊園地のあり方に構造改革が迫られていたおり、テーマパークという新しい進化の方向が提示され、それが既存の遊園地を圧倒する規模の集客力を発揮した。そこで、従来の遊園地はテーマパークに対抗して新型の遊戯施設を積極的に導入し、同時になんらかのテーマを打ち出すことにより魅力向上を図るところが増えた。そして、以後の成長産業としてテーマパークに注目が集まり、1980年代後半のバブル景気にのって新規開業が相次いだ。ただ、バブル経済崩壊後は急激に勢いがなくなり、開業数が激減するとともに、この時期に開業した大半の施設がのちに閉鎖を余儀なくされた。
一方、テーマパークは遊園地以外のさまざまな施設にも大なり小なり影響を与え、テーマパークづくりの手法を活用しようとする動きがみられた。たとえば、遊園地の重要な付帯施設と考えられてきたレジャープールやスポーツ施設は、テーマ性をもたせながら独自の魅力を強化することで、テーマパークに類似する方向へと進化するところが登場した。また、ゲームセンターを大型化し、遊戯施設のような小型ライドを導入し、テーマパークのようなテーマ性を演出する動きもみられた。さらには、博物館や水族館も、テーマパークに倣ったタイプが登場し、観光牧場もテーマパーク化しようとした。加えて、レストランも、遊びながら飲食ができ、エンターテインメント・ショーなどで演出するテーマ・レストランがみられた。そして、従来までのショッピング・センターとは異なるエンターテインメント性のある施設も出てきている。工場に特別見学コースを設けテーマパーク化したファクトリーパークも登場した。
日本国内の典型的なテーマパークとして、入園者数の上位には、東京ディズニーランド、東京ディズニーシー(千葉県浦安市)、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府大阪市)、ハウステンボス(長崎県佐世保(させぼ)市)、サンリオピューロランド(東京都多摩市)、志摩スペイン村パルケエスパーニャ(三重県志摩市)などがあげられる。
一方、昨今は、既存のテーマパークの定義にかならずしも合致しない施設も増えてきている。たとえば、VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)やイマーシブ(没入感)など、新たな技術や手法を用いてテーマパークを構成しようとする取り組みがみられる。また、テーマに基づく演出をハードからソフトまで徹底的に追求し、さまざまな形で五感に訴えかけ、コミュニケーションを促し、利用者を楽しませようと進化を続けている。今後もテーマパークの楽しみ方がさらに高度化していくことは間違いない。