1世帯1住宅の確保を目標にしていた住宅建設計画法(昭和41年法律第100号、2006年に廃止)にかわり、「住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進」することを目的として、2006年(平成18)に制定された法律(平成18年法律第61号)。同年に公布・施行。
人口減少、少子高齢化の進む社会的情勢を受けて、住宅の「量」を確保することから「質」を向上することに目標を大きく転換する必要が生じた。このような背景と将来をみすえ、本法は「現在及び将来における国民の住生活の基盤となる良質な住宅の供給等」「良好な居住環境の形成」「居住のために住宅を購入する者等の利益の擁護及び増進」「居住の安定の確保」といった四つの基本理念を掲げ、良質な住宅と環境を創出し、消費者の需要に合った住宅が市場に供給されることを目ざしている。
次に、これらの基本理念を実現するために、国および地方公共団体に対して、「住宅の品質又は性能の維持及び向上並びに住宅の管理の合理化又は適正化」「地域における居住環境の維持及び向上」「住宅の供給等に係る適正な取引の確保及び住宅の流通の円滑化のための環境の整備」「居住の安定の確保のために必要な住宅の供給の促進等」といった基本的施策を講ずるものとしている。さらに、基本理念にのっとり、住生活の安定の確保および向上の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、政府に対して「全国計画」を策定することを義務づけ、都道府県に対しては全国計画に即して「都道府県計画」を策定することを義務づけている。
本法に基づき、2006年9月に「住生活基本計画(全国計画)」が閣議決定され、住宅の質や住環境の質の向上を図る目標・成果指標・施策が示され、同計画に基づいて住宅政策が展開された。同計画においては、「今後の社会経済情勢の変化及び施策の効果に対する評価を踏まえて、おおむね5年後に見直し、所要の変更を行う」こととされており、現在は、2021年(令和3)3月に閣議決定された、2021年度から2030年度の10年間を計画期間とする「住生活基本計画(全国計画)」が実施されている。