スマートフォン(スマホ)などの携帯端末と、専用の読み取り機(リーダー)を通じて情報を送受信し、商品代金や交通運賃などの支払いができる電子決済サービスの総称。広義に非接触型ICカードを利用した電子決済も含まれるが、スマホを利用したものに使われる場合が多い。スマホ決済やモバイルペイメントともよばれる。
利用者は電子マネーやクレジットカードなどの情報を、あらかじめスマホに登録し、店舗のリーダーにスマホをかざすだけで代金の支払いができる。仕組みは従来の非接触型ICカードを利用した電子決済と同じで、スマホのICチップなどが認識されると、そこに記録されている口座情報などの決済情報が読み取られ、サービスを提供する事業者のサーバーで最終的に決済内容が認証される。支払い方法は、先払い(チャージ)しておくプリペイド方式が主流であるが、ポストペイ方式という、スマホと紐(ひも)づけしておいたクレジットカードやデビットカードによる後払い方式もある。
モバイル決済システムは、近距離無線通信NFCの専用ICチップを搭載したスマホなどを利用するNFC型と、スマホにインストールしたアプリケーション(アプリ)を利用したアプリ型の2種類に分けられる。
NFC方式では、国際仕様として認証されているEMV仕様(Europay, MasterCard, VISA protcol。ユーロペイ・インターナショナル、マスターカード・インターナショナル、ビザ・インターナショナルの3社で合意されたICカードの統一規格)の決済サービスが世界的に利用されている。代表的なモバイル決済のサービスには、アップルペイApple Pay、アンドロイドペイAndroid Pay、サムスンペイSamsung Payなどがある。また、日本国内ではFeliCa(フェリカ)方式が定着しており、Suica(スイカ)(JR東日本)、PASMO(パスモ)(パスモ)、楽天Edy(エディ)(楽天Edy)、WAON(ワオン)(イオン)、nanaco(ナナコ)(セブン&アイ・ホールディングス)、iD(アイディ)(NTTドコモ)などの国内事業者によるサービスが主流である。ただし、2015年(平成27)にアメリカのグーグル社のアンドロイドペイ(グーグル決済)、翌2016年にアップル社のアップルペイがFeliCa方式対応となった。
一方、アプリ型は決済サービスの事業者がそれぞれ提供するスマホアプリとリーダーの間で、必要な支払い情報、口座情報を交換し、決済サービスを行っている。決済に必要な情報は二次元コードやビーコンを通して、スマホとレジの間でやりとりされる。2016年時点で日本で利用されているサービスは、アップルペイ、アンドロイドペイ、楽天ペイ、スクエアSquareなどのサービスである。
[編集部]