ジャパンナレッジ
固定翼機でありながら、垂直に離着陸できるアメリカ軍の主力輸送機V-22の愛称。主翼両端についたローターとエンジン部を、水平方向から垂直方向に動かすことで、ヘリコプターのような垂直離着陸やホバリング機能と、プロペラ飛行機のような航続距離の長い水平高速飛行機能を実現している。このような形式はティルトローターとよばれる。アメリカのベル社とボーイング社の共同開発で、初飛行は1989年。愛称は、垂直に降下して餌(えさ)をとる習性のある鳥ミサゴ(osprey)にちなんでいる。全長17.5メートル、高さ6.7メートルで、最高速度は、2012年時点でアメリカ軍が保有する輸送用ヘリコプターの2倍以上の時速565キロメートルに達する。空中給油などによる最大航続距離は約3900キロメートル。最大収容人数は26人(乗員含む)。アメリカ国防総省は2007年から海兵隊(海兵隊での仕様名称はMV-22)、空軍(空軍での仕様名称はCV-22)、海軍(海軍での仕様名称はHV-22)に実戦配備している。
アメリカ国防総省は2012年(平成24)から2013年にかけて、沖縄県宜野湾(ぎのわん)市の普天間(ふてんま)飛行場に、1960年代に開発されたヘリコプター機CH-46にかえてオスプレイ24機を配備した。2016年12月には、普天間飛行場所属のオスプレイが沖縄県名護(なご)市沖に墜落し、沖縄県などから「安全性に不安がある」として飛行や配備に反対する声がでている。一方、アメリカ軍は今後、横田基地(東京都)にも配備する計画である。また、日本政府は陸上自衛隊に17機を配備する方針を表明している。
[矢野 武]