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イギリスの作家R・L・スティーブンソンの長編小説。1881年10月から翌年1月まで『ヤング・フォークス』誌に発表。このときは注目されなかったが、1883年12月に単行本になると、にわかに人気をよび、以来今日まで世界中で読まれ続けている。主人公はジム・ホーキンズ少年。海賊フリントの財宝を隠した島の地図がふとしたことから手に入り、医師リブジー、地主トレローニー氏、スモレット船長とヒスパニオーラ号で出かける。フリントの昔の手下たちもこの宝をねらっていて、彼らとジムたちの間に死闘が演じられるが、ついに善人側が勝って宝を得る。冒険物語としてスリルにあふれるばかりでなく、主要人物たちの性格が巧みに描き分けられている。なかでも、ジムたちの船の料理番であるのっぽで1本足のジョン・シルバーは(実は敵方の首領格)、したたかな生命力と異常な複雑さを備え、忘れがたい不朽の作中人物の一人とされている。
[高見幸郎]