硬骨魚綱ハダカイワシ目ハダカイワシ科に属する海水魚。北海道のオホーツク海と、北海道の太平洋沖から土佐湾までの海域、小笠原(おがさわら)諸島海域、北オホーツク海、北太平洋、ベーリング海、アラスカ湾からアメリカのカリフォルニア州沿岸など太平洋に広く分布する。体は細長く、尾柄(びへい)高はやや低い。体長は体高のおよそ4.9~5.0倍。頭は大きく、体長は頭長のおよそ3.5倍。吻(ふん)はとがって短い。目は小さく、眼径は吻長のおよそ2倍。背びれは腹びれ基底(付け根の部分)より後方から始まり、背びれ基底長は臀(しり)びれ基底長より短い。背びれは10~14軟条。臀びれは17~20軟条で、背びれ基底の後端下方から始まる。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)は臀びれ基底後端の上方にある。胸びれは14~17軟条で、著しく長く伸長し、臀びれ起部に達する。鰓耙(さいは)は上枝に5~7本、下枝に15~16本。体は一様に黒色。
また、発光器は種の重要な特徴である。雄雌ともに尾柄上部発光腺(せん)SUGL(図中⑯、以下同)と尾柄下部発光腺INGL(⑰)がある。両発光腺は小さくて複数にくぎられるが、黒色素で縁どられていない。脂びれの基底前縁にも発光腺がある。体側にあるすべての発光器は著しく小さくて、見づらい。頬(ほお)に頬発光器Cp(⑥)がある。肛門(こうもん)上発光器SAO(⑫)は3個で、やや広角度の逆L字状に折れ曲がり、最上のものは側線の直下に位置する。胸びれ上発光器PLO(⑦)は2個で、上のものは側線の近くの下方にある。腹びれ上発光器VLO(⑨)は側線の直下にある。胸部発光器PO(⑩)は5個で、4番目のものは著しく高位にあり、胸びれ基底上端の後方にある。体側後部発光器Pol(⑭)は2個で、すこし斜めに並び、上のものは高位にあり、側線の直下にある。腹部発光器VO(⑪)は4個で、ほとんど同じ高さに並ぶ。尾びれ前発光器Prc(⑱)は4個で、最上のものは側線の上にあり、下の2個は後部臀びれ発光器AOp(⑮)の後方にある。前部臀びれ発光器AOa(⑬)は6~8個で、2番目と3番目の発光器は高位にある。後部臀びれ発光器は7~10個。
最大体長は約14センチメートル。北方海域に生息する代表的な種である。水深1400メートル付近にすみ、夜間に表層近くまで日周鉛直移動をする。
本種は脂びれ基底前縁に発光腺があること、頬発光器があることなどでトミハダカやホソマメハダカL. simulatorに似るが、トミハダカは胸びれ上発光器が1個であること、前部臀びれ発光器がほとんど水平に並ぶことなどで本種と区別できる。また、ホソマメハダカは胸びれが短く、12~13軟条と少ないことなどで本種と異なる。なお、本種が属するトミハダカ属の種は個体変異や地理的変異があり、いっそうの研究が必要とされている。