中国とロシアが主導する地域協力組織。英語名称の頭文字をとってSCOと略称する。中国、ロシアのほかインド、パキスタン、中央アジア4か国(ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)、イラン、ベラルーシの10か国が加盟。軍事、政治、経済・貿易、科学技術、文化面などの包括的協力をうたった憲章をもつ。国連統計(2023)によると、加盟国の人口は世界の4割強、域内総生産は世界の2割強、面積はユーラシア大陸の6割を占める。アメリカ・西欧主導の国際秩序への対抗軸という性格が強いうえ、紛争地帯を域内や隣接地帯に抱える地政学的意味合いもあって、国際的に存在感を高めている。
ソ連崩壊で生じた中国と中央アジア各国の国境周辺での緊張問題を解決するため、1996年、上海に集まった中国、ロシア、中央アジア3か国(ウズベキスタンは参加せず)の上海ファイブ(Shanghai Five)が前身。2001年にウズベキスタンを加えた6か国で憲章を採択して正式に発足し、2017年にインドとパキスタン、2023年にイラン、2024年にベラルーシが加わった。事務局を北京(ペキン)に置き、毎年加盟国の持ち回りで首脳会議を開催。2024年時点で、モンゴル、アフガニスタンが準加盟国(オブザーバー)で、対話パートナー国にはアゼルバイジャン、トルコといった周辺国に加え、サウジアラビア、エジプト、カタールなどの中東諸国が名を連ねる。当初のテロ対策、イスラム過激派対策、麻薬や武器の密輸防止など国境周辺での治安維持・紛争防止から、貿易、経済、エネルギー、防衛・安全保障分野へと協力範囲を拡大した。「内政への不干渉」を共通の原則とし、軍事同盟ではないとうたっているが、2007年以降、ほぼ毎年、加盟国による合同軍事演習を実施。ロシアによるウクライナ侵攻後、アメリカと対立するイランや、ロシアと同盟するベラルーシが加わり、アメリカ・西欧への対抗機関との性格を強めているが、中露と距離を置くインドが首脳会議を欠席するなど、かならずしも加盟国の足並みがそろっているわけではない。