外交や安全保障に関する重要秘密(特別管理秘密)を扱う国家公務員の適格性を調べていた制度。2014年(平成26)の特定秘密保護法(正式名称「特定秘密の保護に関する法律」平成25年法律第108号)の施行に伴い廃止となり、特定秘密保護制度下の「適性評価」へ発展的に引き継がれた。
秘密取扱者適格性確認制度に根拠法令はなく、日本政府が2007年に策定した「カウンターインテリジェンス(防諜(ぼうちょう))機能の強化に関する基本方針」に基づいて2009年に導入された。国家機密の漏洩(ろうえい)を防ぎ、スパイ活動から国家機密を守る目的があった。外務、防衛、内閣官房、警察、経済産業など22府省庁の国家公務員が対象(2012年6月末時点で6万4361人)。同制度の存在は、2012年に社会民主党党首だった福島瑞穂(ふくしまみずほ)(1955― )の国会質問主意書に対し、政府が答弁書を閣議決定したため公式に明らかになった。秘密漏洩に対する罰則規定はなかったが、国家公務員法の守秘義務違反(最高懲役1年)が適用される見込みであった。調査内容や運用実態の詳細について政府は公表していないが、本人および配偶者や親族の国籍、借金の有無などの経済状況、交友関係、精神疾患などの通院・治療歴、薬物・アルコールの影響、犯罪・懲戒処分歴、外国への渡航歴などを、本人の同意を得ずに調査していたとみられている。また、特別管理秘密の漏洩を避けるため、適格者となった国家公務員から身上明細書や誓約書を提出させていたと報道された。
なお、同制度を拡充した特定秘密保護法の「適性評価」では、対象に国家公務員に加えて都道府県警察の職員や民間人を含み、法律に基づく罰則(懲役10年以下等)も設けられた。