厚生労働大臣の免許を受けて、医師または歯科医師の指示のもとに、検体検査および生理学的検査を行うことを業とする者(臨床検査技師等に関する法律2条)。
検体検査とは、人体から排出または採取した検体(血液、尿、便、喀痰(かくたん)など)を用いて行う検査であり、微生物学的検査、免疫学的検査、血液学的検査、病理学的検査、生化学的検査、尿・糞便(ふんべん)等一般検査、遺伝子関連・染色体検査があげられる(臨床検査技師等に関する法律施行規則1条)。
生理学的検査(生体検査)とは、身体の表面や内部を調べる検査であり、心電図検査(体表誘導によるものに限る)、心音図検査、脳波検査(頭皮誘導によるものに限る)、筋電図検査(針電極による場合の穿刺(せんし)を除く)、運動誘発電位検査、体性感覚誘発電位検査、基礎代謝検査、呼吸機能検査(マウスピースおよびノーズクリップ以外の装着器具によるものを除く)、脈波検査、熱画像検査、眼振電図検査(冷水もしくは温水、電気または圧迫による刺激を加えて行うものを除く)、重心動揺計検査、持続皮下グルコース検査、超音波検査、磁気共鳴画像検査、眼底写真検査(散瞳(さんどう)薬を投与して行うものを除く)、毛細血管抵抗検査、経皮的血液ガス分圧検査、聴力検査(詳細省略)、基準嗅覚(きゅうかく)検査および静脈性嗅覚検査(静脈に注射する行為を除く)、電気味覚検査およびろ紙ディスク法による味覚定量検査、直腸肛門機能検査があげられる(同施行規則1条の2)。
また、医療機関内で検体検査を行う場合は、施設の構造設備、管理組織、検体検査の精度確保の方法などを、実施に必要な基準(厚生労働省令で定める事項)に適合させなければならないとされている(医療法15条の2)。このため、病院または診療所は、検体検査の精度確保責任者として医師または歯科医師、助産師、臨床検査技師の配置が求められている(医療法施行規則9条の7)。
臨床検査技師の免許は、厚生労働大臣が行う国家試験に合格した者に与えられる。また、受験資格は、文部科学大臣が指定した学校、または都道府県知事が指定した臨床検査技師養成所において、3年以上、規定する検査に必要な知識・技能を修得した者とされる。
上記の検体検査および生理学的検査の実施に際し、臨床検査技師は、医師または歯科医師の具体的な指示のもとに、診療の補助として、採血、検体採取、生理学的検査、およびこれらに関連する行為を行うことができるとされている(臨床検査技師等に関する法律20条の2)。医療関係職種の専門性の活用、タスク・シフト/シェアによる医師の負担軽減(医師の働き方改革)を進めようとする社会情勢を背景に、業務範囲の見直しが進められてきている(厚生労働省による医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会など)。検体採取等に関する厚生労働省指定講習会、タスク・シフト/シェアに関する厚生労働大臣指定講習会等の受講を前提に、臨床検査技師が実施可能な業務は拡大しつつある。
検査に関連する資格制度である衛生検査技師については、検査技術の高度化等に伴い、検査の質の向上を図る観点から、新規の免許発行は廃止されている(臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の一部を改正する法律。平成17年法律第39号。平成18年4月1日施行)。ただし、すでに受けている免許は有効とされており、法改正後も継続して衛生検査技師業務を行うことができる。