硬骨魚綱ワニトカゲギス目ムネエソ科キュウリエソ亜科に属する海水魚。北海道から福岡県までの日本海沖、青森県から土佐湾までの太平洋沖、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、小笠原(おがさわら)諸島、ハワイ諸島など太平洋に分布する。体は側扁(そくへん)し、細長く、体長は体高の3.6~4.1倍。頭部背面の外郭は直線状で、体の腹面は尾柄(びへい)までほとんど水平。目は大きく、頭長の2.5~2.7倍。口も大きく、上顎(じょうがく)の後端は目の中央下をわずかに越える。主上顎骨の下縁は鋸歯(きょし)状。上顎の歯はきわめて小さく、1列に並ぶ。下顎の歯は前方で2列、後方で1列になり、前方の歯はいくぶん大きい。鰓耙(さいは)は細長く、上枝に6~8本、下枝に17~19本。背びれは10~11軟条で、基底(付け根の部分)が著しく短く、体の中央部より後方から始まる。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)がある。臀(しり)びれは21~24軟条で、背びれ基底後端下方から始まる。胸びれは体の下方につき、軟条の後端は腹びれ基底に達しない。肛門(こうもん)は臀びれ起部の直前に開く。下顎の先端に縫合発光器がある。頭部の下面にある鰓条発光器と胸びれ前発光器はそれぞれ6個で縦長。胸びれ基底から腹びれ基底上方にある体側発光器は9個、腹びれの基底より前方にある腹部発光器は11~13個、臀びれ前発光器は6個、臀びれの基底沿いにある臀びれ発光器は15~18個で連続する。尾柄下部発光器は8~9個。体と頭部の背面および発光器の周辺は茶褐色で、それ以外は銀白色。各ひれは淡色。水深50~300メートルの中深層にすむ。体長は最大で5センチメートルくらいにしかならない小形種である。
本種の学名には長い間M. japonicusが使われていたが、2017年に魚類研究者のリースDavid John Reesらによってオーストラリアやニュージーランドに分布するM. australisと同種とされた。
ムネエソ科は、キュウリエソ亜科とムネエソ亜科に分かれる。本種が属するキュウリエソ亜科は体が細長く、頭部背面や腹部縁辺に骨質隆起などがない。本亜科には日本からキュウリエソ属の本種以外に、ホシエソ属の1種のホシエソValenciennellus tripunctulatusと、オオメウキエソ属の1種のオオメウキエソArgyripnus ephippiatusが知られている。ホシエソ属は臀びれ発光器が4群に分かれることなどで、オオメウキエソ属は臀びれが2部に分かれることで本種と区別できる。なお、魚類研究者のプロコフィエフA. M. Prokofievによって、2017年と2023年にオオメウキエソ属の2種A. boreopacificusとA. scharpfiがそれぞれ新種として日本近海から記載されているが、2025年(令和7)時点では和名はまだ与えられていない。