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ガス機関

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ガス機関
がすきかん

往復動内燃機関の一つ。可燃性ガス(天然ガス、石炭ガス、バイオガス、水素など)の燃焼反応により動力を得る。基本構造はガソリンエンジンなどほかの往復動内燃機関と共通で、燃焼反応により得られる高温高圧の作動ガスの膨張によりピストンを動かし連接棒を介してクランク軸を回転させる原動機であるが、大口径のガス機関では予燃焼室が設けられることが多い。

 1859年にフランスの技術者であるエティエンヌ・ルノアールによって石炭ガスを燃料とした2ストローク式(ピストンが往復する間に圧縮行程、膨張行程および掃気を行う)のガス機関が開発されたが、出力が低いなど実用面での課題もあった。1876年にはドイツのニコラウス・オットーが4ストローク式(ピストンが2往復する間に吸気・圧縮・膨張・排気の4行程を行う方式)を開発した。これは石炭ガスを燃料とした定置式のガス機関であったが出力と熱効率が大幅に改善されており、工場の動力源や発電向け用途として広く普及し、20世紀初頭まで用いられた。

 その後1892年にディーゼル機関が開発されたことによりガス機関の導入は減少したが、現在でも発電やコ・ジェネレーション(熱電併給)、船舶などの動力源として活用されている。また、自動車の動力源としてガソリンや軽油の代替として、圧縮天然ガス(CNG)、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)などを燃料とする機関も一部で用いられている。

 ガス機関の燃料にはおもに天然ガスやバイオガスなどが用いられるが、近年では地球温暖化に影響を与えるとされる温室効果ガスである二酸化炭素削減の観点から、燃焼させても二酸化炭素を排出しない水素、アンモニアやカーボンニュートラル燃料である合成メタン(e-メタン)などの利用が検討されている。合成メタンは都市ガス(13A)に近い燃焼特性(燃焼速度など)をもち既存の都市ガスインフラを利用できる。一方、水素は非常に燃えやすく、アンモニアは燃えにくいという性質をもつため以下のような課題がある。

 水素は単位体積当りの発熱量が低いことや異常燃焼(過早着火やノッキング)が発生しやすいため、機関出力が低下する傾向がある。また、火炎温度が高くなるため、大気汚染の原因となる窒素酸化物(NOx)の排出抑制が課題となる。他方、アンモニアも発熱量が低く出力低下を招くことに加え、分子内に窒素原子を含むために燃焼時に多くのNOxが生成されるという特徴がある。これらの課題を解決するため、燃焼室に圧縮空気を送り込み、出力を高める過給や燃焼制御、これらの燃料の混焼、後処理など多方面で活発な研究開発が行われている。

[佐古孝弘]2025年11月17日

©SHOGAKUKAN Inc.

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