東京都の警察機関およびその本部の名称。警察法(昭和29年法律第162号)に基づいて設置されている。東京都公安委員会の管理の下で、東京都内における個人の生命・身体・財産の保護と公共の安全秩序の維持にあたる。
1874年(明治7)に日本で最初の近代的警察組織として発足。明治憲法下では、府県と並ぶ国の機関であった。第二次世界大戦後の警察制度改革(旧警察法の制定)によって、1948年(昭和23)に東京都23特別区連合で設置する自治体警察となる。1954年の現行警察法の制定により、東京都内の他の警察(自治体警察および自治体警察が設置されていない地域を管轄する東京都国家地方警察)をあわせた東京都警察の本部として現在の警視庁が発足した。
組織の長は警視総監。副総監1人と総務部、警務部、交通部、警備部、地域部、公安部、刑事部および生活安全部が置かれる。10の方面に102警察署が置かれている。職員は、警視正以上の警察官(約80人)が国家公務員であるほかは、東京都の地方公務員であり、警視以下の警察官4万3521人、警察官以外の職員3015人で、合計4万6536人となっている(2025年4月1日時点の定員)。
道府県に置かれる警察本部と法的な位置づけに本質的な違いはないが、最大規模の警察(人員数は2番目の大阪府警察の2倍)で、首都を管轄し、国家的な治安維持の中核を担う面を有する。このため、警視総監は、日本でもっとも上位の階級の警察官であり、道府県警察本部長とは異なり、国家公安委員会による任免に内閣総理大臣の承認を要することとされている。一般の警察業務に加え、要人警護、国家施設等警戒・警備、国際テロ対策などの分野で、実質的に国家警察にかわる機能を果たしている。