数字を使ったゲーム、賭(か)け事の一種。5列×5段の枠の中に数字が書かれたボードや用紙(ビンゴ・カード)を使用する。日本では商品などが当たるゲームとして、パーティーなどで行われることが多い。参加者にはそれぞれ異なるビンゴ・カードが配られる。ビンゴ・カードの「B」の列(1列目)には1~15、「I」の列(2列目)には16~30、「N」の列(3列目)には31~45、「G」の列(4列目)には46~60、そして「O」の列(5列目)には61~75のいずれかの数字が記されている。同じ数字が二度使われることはなく、並ぶ順番に規則はない。ただし「N」の列の3段目、つまりビンゴ・カードの中央の枠はフリーゾーンで、全員が最初から当たったものとみなす。ゴール(あがり)は、当り数字が自分のもつビンゴ・カード上で、縦、横、斜めのいずれかの方向で直線状に5個並ぶ(「ライン」をつくる)ことが基本である。
当り数字は、通常、数字が書かれた75個のピンポン玉状のボールがビンゴマシンの出口に吹き上げられ、順に選ばれて読み上げられる。この点ではキノと似ているが、ビンゴの当り数字はキノのように20個ではなく、当選人の確定に必要なだけの数字が選択される。これに対して、キノではだれも当たらないかもしれないし、大当りが複数人でることもありうる。
日本では、当り数字が1列以上早く並んだ者から希望する商品を獲得することが普通であるが、アメリカではより多くのバリエーションがある。たとえば、5×5の枠の連なりでXの文字をつくる「レター・エックスLetter X」という種目や、さらにすべての枠が当り数字で埋まる「ブラック・アウトBlack Out」という種目などがあり、これらを達成したビンゴ・カードをもつ参加者が最終勝者となることが多い。このように、アメリカ方式ではたとえ1列のラインから賞金の獲得がスタートするにしても、続けて行われるあとの種目のほうが通常は賞金が高額となる。そのため、日本のビンゴは時間とともにゲームへの興味が薄れていきがちだが、アメリカ方式では興味を持続させることができる。
ビンゴはチャリティー目的で、教会などでもよく行われているが、それらは違法のギャンブルとは解釈されないことが通例である。ただしチャリティー目的の場合、賞金額の上限や賭け金の範囲が定められている。
ビンゴの賞金額について、ネイティブ・アメリカンの自治区では特例がある。1979年、フロリダ州に住むネイティブ・アメリカンの民族グループ、セミノールSeminoleが、州で定められていた上限をはるかに超える賞金額のビンゴを始めた。州との訴訟において、セミノールが主張したのは次のような内容であった。いわく、「チャリティーも含めてフロリダ州ではビンゴ自体は違法ではない。チャリティーなどでのビンゴの賞金額の上限は法に明記されたものではなく、州によって規制されるものであるが、われわれの土地(自治区)においては自治権が憲法で保障されており、上限を変える権利がある」と。この主張は認められ、他州のほかの先住民集団の間にもビンゴのブームが飛び火した。現在では賞金額が10万ドルに達するものもある。
なお、「ビンゴ」という名称は、「19世紀なかば以降、20世紀前半までは別のゲームを表すものとして使用されていた」と、スカーンJohn Scarne(1903―1985)の著書Scarne’s New Complete Guide to Gamblingにある。この時期、映画やショーのチケットを購入すると、そのチケットに切り離すことができる特定番号のおまけがついており、その番号が当り番号に選ばれた何人かの観客に賞金や商品が当たる一種のくじ引きのようなゲームがあり、「シアター・ビンゴTheater Bingo」とよばれていたという。読み上げられた番号をもつ観客は、「ビンゴ!(あたり!)」と声をあげることになっていたため、その名称が20世紀のギャンブル場でも使用されるようになったのである。