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日本大百科全書(ニッポニカ)

アトランタ・ブレーブス

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アトランタ・ブレーブス
あとらんたぶれーぶす
Atlanta Braves

アメリカのプロ野球球団。ナショナル・リーグ所属(東地区)。フランチャイズをジョージア州アトランタに置き、トゥルーイスト・パークを本拠地としている。球団名の変遷は、ボストン・レッドキャップス(1876)―ボストン・ビーンイーターズ(1883)―ボストン・ダブズ(1907)―ボストン・ラスラーズ(1911)―ボストン・ブレーブス(1912)―ボストン・ビーズ(1936)―ボストン・ブレーブス(1941)―ミルウォーキー・ブレーブス(1953)―アトランタ・ブレーブス(1966)。

 ナショナル・アソシエーションが創設された1871年からレッドストッキングスとして存続していた球団が前身。所属リーグがナショナル・リーグとして再発足した1876年にレッドキャップスと改称して加盟した。その後、1883年、1907年、1911年と3回の改称を経て、1912年からブレーブスとなった。1914年には、68勝19敗という後半の追い上げでリーグ優勝(年間成績94勝59敗)。ワールド・シリーズでも強豪フィラデルフィア・アスレチックス(現、アスレチックス)を4連勝のストレートで降して「ミラクル・ブレーブス」とよばれた。1948年にもリーグ優勝したが、ワールド・シリーズではクリーブランド・インディアンス(現、クリーブランド・ガーディアンズ)に敗れた。1953年にミルウォーキーにフランチャイズを移転。当時は左腕投手ウォーレン・スパーンWarren Spahn(1921―2003)がエースで、エディー・マシューズEdwin Lee "Eddie" Mathews(1931―2001)が打線の中心であった。さらに1954年には、2007年にバリー・ボンズに抜かれるまで、ホームラン755本の通算最多記録保持者であったハンク・アーロンがデビューした。1957年にはスパーンがリーグの最多勝投手となってサイ・ヤング賞、アーロンが本塁打と打点の二冠王で最優秀選手(MVP)を受賞してリーグ優勝し、ワールド・シリーズでもニューヨーク・ヤンキースを降して「世界一」となった。1958年もリーグ優勝。しかしワールド・シリーズではヤンキースに敗れた。1966年にフランチャイズをアトランタに移転。両リーグ東西の2地区制となった1969年からは西地区に配属された。その年に地区優勝。1982年にも地区優勝したが、両年ともリーグ優勝はできなかった。1987年に左腕投手トム・グラビンThomas Michael "Tom" Glavine(1966― )、1988年に快速球右腕投手ジョン・スモルツがデビュー。1990年のシーズン途中にボビー・コックスRobert Joe "Bobby" Coxが二度目の監督に就任すると、1991年から2年連続リーグ優勝。1993年シカゴ・カブスから投手グレッグ・マダックスをFA(フリー・エージェント)で加え、同年も地区優勝。両リーグ東・中・西の3地区制が導入され、東地区に配置替えされた1994年は、ストライキでシーズンが中断されて優勝チームなしとなったが、1995年から2005年まで11年連続地区優勝。その間、好打者チッパー・ジョーンズ、攻守の要アンドリュー・ジョーンズなどの活躍により、1995年、1996年、1999年と三度リーグ優勝し、1995年にはワールド・シリーズでインディアンスを破って「世界一」となった。プレーオフ自体が行われなかった1994年を除き、1991年から2005年まで14シーズン連続プレーオフ進出という黄金時代であった。1997年には新球場ターナー・フィールドが開場した。

[山下 健]
 ブレーブスの黄金時代を築き上げた名監督コックスの17年目となった2006年は、勝率5割を切り3位。連続地区優勝は14で途切れた。続く2007年も3位に終わった。

 2010年限りで監督のコックスは勇退。2012年にチッパー・ジョーンズも引退し、黄金時代の中心人物が去っていったが、2010年にはジェイソン・ヘイワードJason Heyward(1989― )がデビューして20歳の若さでオールスターに選出され(故障のため不参加)、フレディー・フリーマンFrederick Charles "Freddie" Freeman(1989― )もデビュー。2011年にはクレイグ・キンブレルCraig Kimbrel(1988― )が大リーグ(MLB)新人記録となる46セーブをあげて新人王を受賞するなど、若手が台頭した。そして2013年に8年ぶりの地区優勝を果たした。2017年には海外のアマチュア選手との契約に関する違反があったとしてゼネラルマネージャー(GM)のジョン・コッポレラJohn Coppolella(1978― )が球界から永久追放の処分を受けるスキャンダルがあったが、同年の現本拠地開場に合わせて戦力を充実させてきたこともあり、ロナルド・アクーニャ・ジュニアRonald Acuña Jr.(1997― )が新人王を獲得した2018年に地区優勝を飾った。2021年は中心選手に成長したアクーニャ・ジュニアが7月にけがで戦線離脱するも、その後トレードで補強したエディー・ロサリオEddie Rosario(1991― 。チャンピオンシップ・シリーズMVP)、ホルヘ・ソレアJorge Soler(1992― 。ワールド・シリーズMVP)らが活躍。ワールド・シリーズでヒューストン・アストロズを4勝2敗で下して26年ぶり4度目の「世界一」となった。2018年から2023年まで6年連続地区優勝を成し遂げるという、新たな黄金時代を築き上げることに成功している。

 なお、日本人選手では、投手として川上憲伸(けんしん)(2009~2010年在籍)、斎藤隆(2010年在籍)がプレー。

 1876年から2024年までの通算成績は、1万1114勝1万0949敗、地区優勝23回、リーグ優勝18回(うち1リーグ時代は8回)、ワールド・シリーズ優勝4回。

[大冨真一郎]2025年11月17日

©SHOGAKUKAN Inc.

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