日本の政党。2017年(平成29)9月、東京都知事の小池百合子(1952― )を中心とする地域政党「都民ファーストの会」が国政に進出する形で結党した。略称は希望。綱領で「しがらみ政治」からの脱却を掲げ、憲法改正、規制改革、地方分権を訴え、日米同盟を重視するなど政策的には親米・改革保守の色彩が濃い。消費増税の凍結や脱原発も掲げている。2017年10月の衆議院選挙を前に、野党第一党の民進党との合流による政権交代を目ざした。しかし、小池が護憲・リベラル派議員を排除する方針を明言したことで、民進党からの合流は一部議員にとどまり、希望の党ブームを起こすことなく、衆院選で敗北した。党本部は東京都千代田区永田町。2017年11月時点で所属国会議員は54人(衆院51人、参院3人)で半数以上が民進党出身者である。代表は衆院議員の玉木雄一郎(1969― )。
結党時に小池が代表につき、党名は小池の政治塾「希望の塾」に由来する。小池に近い若狭勝(わかさまさる)(1956― )らに加え、民進党の細野豪志(ごうし)(1971― )、長島昭久(あきひさ)(1962― )らのほか自民党、日本のこころの一部議員が合流し、結党会見に参加した国会議員は14人であった。2017年の衆院選を控え、民進党代表の前原誠司(1962― )は党として公認候補を立てず、希望の党への合流を決めた。しかし小池が「全員を受け入れることはさらさらない。排除します」と明言し、民進党出身者でも安全保障政策や憲法に関する理念が異なる議員や「三権の長」経験者の排除を打ち出した。これに民進党議員の一部が反発し、衆院議員の枝野幸男(えだのゆきお)(1964― )が護憲・リベラル派議員を中心に立憲民主党を結党して民進党は分裂。首相経験者等のベテラン議員らは無所属で出馬した。代表の小池が衆院選に出馬しなかったことも重なり、希望の党人気は失速し、選挙結果は公示前の57議席を下回る50議席で、立憲民主党に次ぐ野党第二党にとどまった。衆院選敗北の責任をとって同年11月、小池が代表を辞任し、後任に玉木がついた。
[矢野 武]
2018年5月、希望の党は玉木雄一郎を代表とする国民党と、松沢成文(しげふみ)(1958― )を代表とする希望の党に分党、さらに国民党は届出を行った同日に解散し、民進党が名称変更して発足した国民民主党と合併した。国民民主党は玉木と民進党出身の大塚耕平(1959― )が共同代表を務める。所属国会議員は62人(衆院39人、参院23人)。
[編集部]